<いばらき震災10年>避難者支援団体 水戸市の「ふうあいねっと」 顔を見合わせ交流したい

2021年2月24日 07時34分

ブドウ狩りをしながら交流会を楽しむ避難者ら=2017年9月、石岡市で(ふうあいねっと提供)

 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、東京電力福島第一原発事故で福島から県内に避難してきた人たちを支える一般社団法人「ふうあいねっと」(水戸市)の活動が難しくなっている。事故からまもなく10年。記憶の風化を防ぐ役割を果たそうにも、スタッフの避難者宅訪問や、避難者同士の交流会の開催は厳しい状況だ。 (出来田敬司)
 ふうあいねっとは二〇一二年五月、被災者支援に取り組むNPOや専門機関など約二十団体が全県的なネットワーク組織として設立。一九年四月に法人化した。福島と茨城をつなごうと、それぞれの最初の一文字を名前に込めた。第一原発が立地する福島県大熊、双葉両町など「浜通り」から逃れて来た人たちを中心に手を差し伸べてきた。
 復興庁などの調査によると、今年一月現在、福島から県内への避難者は二千九百二十五人。都道府県ごとの受け入れ先では東京都の三千人に次ぐ。北茨城市や日立市など福島に近い県北地域が比較的多い。
 ふうあいねっと事務局長の大里千恵子さん(34)は「働く場を求めて来た人が多いが、福島と茨城は土地の雰囲気が似ていることもあるようだ」と推測する。
 ふうあいねっとの支援は、避難者向けの情報冊子「ふうあいおたより」の発行▽避難者の住居確保、新生活の支援▽避難者同士の交流会開催▽避難者宅訪問−など多岐にわたる。
 特に力を入れてきたのは、避難者たちが集まる交流会の開催だ。顔を合わせて話し合うだけでなく、ヨガをしたり、プリンをつくったり、イチゴ狩りをしたりして楽しむ。「ふるさとの言葉で話ができるのがいいようです」(大里さん)
 しかし、コロナ禍で状況は一変した。交流会を企画しても参加希望者が少なく、会そのものが中止されることもある。これまでの交流会で仲良くなった人のグループが、活動を取りやめるケースも出てきた。
 避難者宅への訪問は、避難者の状況を確認したり、相談に乗ったりする貴重な機会だが、これもままならない。県が感染拡大市町村を指定したり、独自の緊急事態宣言を発令したりするたびに、避難者もスタッフも対面をちゅうちょする。
 夫婦二人で四、五回ほど交流会に参加した福島県富岡町出身の吉田輝男さん(69)は茨城町木部で栗農家を営む。
 「初めて顔を合わせる人がほとんどだったけど、『町のあそこにこんな店があったな』と共通の話題ですぐにうち解けられた」と意義を強調した上で、「コロナの影響で交流会がないのは残念だけど、感染状況は多少落ち着いてきたし、また始まるんじゃないかな」と早期再開を期待する。
 大里さんは「高齢者や不安を抱えている人の暮らしぶりは、メールやラインだけでは伝わらない。コロナ禍が落ち着いて、お互いの顔を見合わせるような雰囲気が戻ってほしい」と終息を願う。

関連キーワード

PR情報

茨城の新着

記事一覧