高円寺にお化け屋敷カフェ 体験の記者も震え上がった 究極の恐怖をどうぞ

2021年2月25日 06時33分

怪しい!? カクテル「Z-ワクチン」

 絶叫必至のお化け屋敷が楽しめるカフェが杉並区にある。「ゾウンテッドマンション」。こだわりの世界観、怖がらせる演技にたけたスタッフによる恐怖体験は、あらかじめ取材で全貌を知っていた記者も震え上がったほど。運営会社の代表は「究極の非日常、恐怖を味わって」と不敵に笑う。
 暗闇の中、小さな牢屋(ろうや)に閉じ込められた。うっすら見えるのは壁にこびりついた血。突然、壁を爪で引っかく音やたたく音が響く。不穏な雰囲気の中、フラッシュがたかれたように牢屋の前が一瞬、光った。人がいたように見えた。次の瞬間、髪の長い女が目の前の鉄格子を激しく、揺さぶった。思わず、「うわあ」と叫んでしまった。
 ゾウンテッドマンションは、お化け屋敷をプロデュースする「ゾウンテッド」(同区)が昨年十月、高円寺にオープンさせた。二階が研究施設をモチーフにしたお化け屋敷。昼夜二部制で、昼はお化け屋敷内を見て回り、夜は牢屋や浴室に閉じ込められスタッフが脅かしに来る。

身の毛もよだつ2階のお化け屋敷エリア

 一階のカフェでは注射器や試験管を使った怪しいカクテル「Z−ワクチン」などを楽しみながら、モニターで恐怖におののく二階の客の様子をながめられる。
 小道具も凝っている。苦悶(くもん)の表情を浮かべる人形は、代表のマイケルティー・ヤマグチさんがオーディションで選んだ女性の顔から型取りしたもの。血液の塗料は長い時間がたったように見せるために特別に調合し、消毒液のにおいを充満させて研究施設のリアルさを出した。
 長崎市出身のヤマグチさんは幼少期から手先が器用で、ホラー好き。小学校時代の作文には「家に人を招いて、驚かす研究者になりたい」と夢をつづった。
 中学一年でゼラチンや紙粘土を使って、独学で特殊メークを始めた。ホラー映画に出てくるようなマスクも自作し、いつしか「お化け屋敷なら自分の世界観を表現できる」と思うようになった。
 十九歳のころ、知り合いのマジシャンがプロデュースしたお化け屋敷で、内装や音響、演出、特殊メークを手がけた。一カ月半の営業時間中は連日長蛇の列。これを機に、フリーのお化け屋敷プロデューサーとして本格的に活動を開始。ハウステンボスやとしまえんなど全国のテーマパークのお化け屋敷に携わるようになった。

ホラーで社会貢献を目指すマイケルティー・ヤマグチさん

 三十歳で上京し、知人の紹介で芸能事務所に所属。二〇〇四年公開のホラー映画「渋谷怪談」では、出演するだけでなく、特殊メークや演出にも携わった。〇八年公開の「リアル鬼ごっこ」では、作品を象徴する鬼のマスクを制作し、知名度は向上。シャッターが目立つ商店街や山村で、地域の活性化のためにお化け屋敷を企画するなど活躍の場は広がった。
 そんな経験から「お化け屋敷はにぎわいを生み出す。ホラーで社会貢献したい」と数年前にゾウンテッドを設立。徹底した作り込みによる質の高いお化け屋敷や、客をベッドに拘束する新スタイルを生み出してきた。
 常設のゾウンテッドマンションで「家に人を招いて、驚かす研究者に」という作文に書いた夢は実現した。「カフェで飲むだけでもいい。ホラー嫌いの人がホラー好きになってもらえる場所にしたい」とヤマグチさん。次の夢は、お化け屋敷を日本を代表するカルチャーに押し上げることだ。
 ゾウンテッドマンションは同区高円寺北3の45の1。緊急事態宣言を受け、現在は土曜日午後1〜8時のみ営業。お化け屋敷の夜の部も不定期開催となっている。昼の部は500円、夜の部は参加人数に応じて1人900〜1500円。問い合わせは電03(6383)0021
 文・西川正志/写真・隈崎稔樹
 ◆紙面へのご意見、ご要望は「t-hatsu@tokyo-np.co.jp」へ。

関連キーワード


おすすめ情報

TOKYO発の新着

記事一覧