街角のアート楽しんで 江東区と住民調査、現存の79点 観光コース策定やツアー企画

2021年2月25日 07時15分

亀戸のシンボル「HANEKAME92年」(松本哲哉さん作、1992年3月、亀戸駅前公園)。四神についての説明がある

 造りっぱなしのまま忘れ去られてしまっていることも少なくない、街角の彫刻や壁画などパブリックアート(公共芸術)の現状を調べ、リスト化する初めての作業に江東区が区民と協力して取り組んだ。現存する区の所有作品は七十九点。「アート散歩」の楽しみをPRしていきたいという。 (浅田晃弘)
 江戸時代からの水の街・江東区は、昭和後期になると役割を終えた川や運河の埋め立てが進んだ。水辺に造られた公園には、相次いでシンボルとなるアート作品が設置された。
 区のパブリックアート第一号は、一九八二年三月、空襲犠牲者の慰霊を目的に区庁舎敷地に建立した母子のブロンズ像「希(ねが)い」(横山文夫さん作)。加えて都内最大級の親水公園・仙台堀川公園に「想」「活」「継」「憩」と題した、いずれも上野弘道さん作の四点の人物像を置いた。

希(ねが)い(横山文夫さん作、1982年3月、江東区庁舎敷地)=区提供

 以降、親水公園を中心にアート作品が増えていき、区は九〇年代までに計八十三点を設置した。二〇〇〇年代に入り整備したのは、若洲公園の「朱雀(すざく)」(〇六年)と豊洲シビックセンター前の「白虎(びゃっこ)」(一五年)の二つ。これは、東西南北のそれぞれの方角を、四つの霊獣が守護するという古代中国の「四神思想」に由来する。
 一九九二年三月、亀戸駅前公園に、翼のある亀の像を置いたのが、後に影響した。亀を採用したのは「地名にちなんだ遊び心」だったのだが、都営新宿線東大島駅前の広場に像を置くことになり、関係者があることに気が付いた。四神の一つで北を守る「玄武」は亀の姿だ。亀戸駅は区役所から見て北の方角にある。
 このため、東大島駅前の像は東を守る「青龍」を採用した。区の南部に位置する若洲公園には「朱雀」を置いた。西部の豊洲に「白虎」を造ったことで、四神の配置は完結した。知る人ぞ知るパワースポットになった。

GOMBESSA(松本哲哉さん作、1990年3月、西深川橋橋台敷)=区提供

 作品の調査は、区の資料を基に「区文化観光ガイドの会」(会長・岩渕和恵さん)のメンバーが現地を訪問して行った。六点が撤去されていたことが分かったほか、老朽化が進み、修復が急がれる像も少なからずあった。
 アート作品の整備は、区役所内で複数の部署が担当し、管理も別々だった。今回の活動で、初めて区のパブリックアート事業の全体像が一覧できる資料が完成した。
 区文化観光課の担当者は「身近なまちの魅力に目を向けるいい機会になった。観光コースの策定やツアーの企画も進めていきたい」と話す。来月は、作品を写真で紹介するパネル展を、豊洲シビックセンター(二〜五日)と深川東京モダン館(九〜十四日)の二カ所で開催する。

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