茨城の冬の味覚・アンコウがコロナ禍の旅館や飲食店を救う!ラーメンやピザで起死回生

2021年2月25日 12時04分

海底に生息するアンコウ=アクアワールド茨城県大洗水族館提供

 茨城県を代表する冬の味覚のアンコウが、新型コロナウイルスで苦しむ地元の旅館や飲食店の救世主になっている。海底に生息するアンコウは平べったい体と、大きな口に鋭い歯を持つグロテスクな外見だが、ラーメンやピザなど身近な料理の食材に採り入れられ、経営を支える逸品として人気を呼んでいる。 (保坂千裕)

◆旅館は宿泊客激減…大人気のラーメン店が心の支えに

新型コロナ禍を乗り切ろうと「あん肝ラーメン」を開発した武子能久さん=茨城県北茨城市のまるみつ旅館で(保坂千裕撮影)

 県の最北部に位置する北茨城市。「まるみつ旅館」ではコロナ禍で宿泊客が激減し、旅館の売りとして鍋で出していたアンコウの肝とみそをベースにしたスープのラーメン(税別850円)を開発。昨年5月末から、館内にラーメン店をオープンした。
 当初は3カ月間ほどの期間限定のつもりだったが、人気が沸騰し、旅館を一時休業していた時期もラーメン店は大人気だった。
 ラーメンは濃厚な味わい。スープと、トッピングのペーストになったあん肝が太めのちぢれ麺に絡む。脂っぽくはないため、胃は重くならない。鍋の締めのように、スープに白米を入れて雑炊で食べきる客が多いのだそう。
 3代目社長の武子たけし能久さん(45)は「客単価は低いが、お客さんが並んでくれて救われた」。経営だけでなく、心の支えになっているという。

◆東日本大震災の津波被害からの再起にも貢献

 10年前の東日本大震災でも、アンコウが窮地を救った。津波で大きな被害を受け、宿泊客数が9割減となる苦しい時期もあったが、武子さんは2015年に「あんこう研究所」を設立し、アンコウの独自商品を作って乗り切った。
 旅館のサイトでは、あんこう鍋やラーメンに加え、自宅で旅館の気分を味わえる食材と入浴剤のセット販売を始めた。入浴剤もアンコウの骨を煮詰めたコラーゲンボール。食前と食後に入浴できるよう2回分用意し、客室にある足袋まで入って2人分で1万円(税別)だ。
 「アンコウは天からの贈り物。磨けば磨くほど光る原石」と武子さん。これからも商品開発を続け、アンコウや県の魅力をPRしていくという。

◆勤め先の店を解雇…キッチンカーに希望乗せ

キッチンカーで焼きたてのあん肝ピザを提供する五十嵐快さん=茨城県高萩市で(保坂千裕撮影)

 アンコウを洋風にアレンジしたのは、キッチンカーでピザを販売する高萩市の五十嵐快さん(41)。新型コロナの影響で昨年4月、勤めていた飲食店を解雇され、再起をかけて今年1月から営業を始めた。
 父親に振る舞ってもらった郷土料理「アンコウのどぶ汁」は、家庭の温かい味として記憶に残り、ピザにあん肝を使うことを思いついた。「地元の具材を使い、生産者も元気になれるように」との願いも込める。
 500度の石窯で一気に焼き上げたあん肝ピザは、香りが鼻に抜け、塩味が効きパンチがある。もちもちした生地と濃厚な味付けの絶妙なバランス。「アンコール」とお代わりしたくなるほどクセになる味だ。
 県北部を中心に走り回りながら、できたてのピザを届けていく。昨年9月には娘が生まれ「将来は子どもにも手伝ってもらえるといいな」と夢を膨らませる。希望を乗せたキッチンカーは、走り始めたばかりだ。

PR情報

新型コロナの新着

記事一覧