<新型コロナ>沼津発「冷凍庫」に世界が注目 超低温、ワクチン輸送に最適 JAXAも依頼した開発技術

2021年2月26日 08時45分
エイディーディーが開発した超低温冷凍庫=いずれも沼津市で

エイディーディーが開発した超低温冷凍庫=いずれも沼津市で

  • エイディーディーが開発した超低温冷凍庫=いずれも沼津市で
  • 白い板状の専用保冷剤と冷凍したバナナ(手前)。バナナは金属のように硬くなる
 沼津市の機械製造エイディーディー(下田一喜社長)が、新型コロナウイルスのワクチン輸送に適した超低温冷凍庫を開発した。今のところ日本国内の輸送に使われる計画はないが、コールドチェーン(低温輸送)体制が弱いアジア、アフリカ諸国向けへの問い合わせが殺到。海外での接種に貢献する期待が高まっている。 (渡辺陽太郎)
 同社の冷凍庫は、蒸発温度の異なるフロンガスが、熱交換器内で液化と気化を繰り返して温度を下げ、マイナス八十〜百二十度を保つ。高さ約九十四センチ、幅五十センチ、奥行き八十センチで一度に千回分のワクチンを車に載せ運べる。家庭・自動車電源に対応する。
 今月十三日、東北で起きた地震で県内は約十七万軒が停電した。こうした場合も専用保冷剤の併用で最大四十八時間マイナス八十度を保つという。価格は、税抜き百九十八万円。
 新型コロナワクチンの大半は超低温での輸送や保管が必要。同社は昨年九月、国からワクチン輸送を指示された運送会社から相談を受けた。以前、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の依頼で開発した冷凍庫を改良。十月末に完成させ、十一月に発売した。
 するとインドや東南アジア諸国連合(ASEAN)、アフリカ諸国に拠点がある大手商社から問い合わせが相次いだ。「一日百件超の電話に対応した」と下田裕人取締役(40)は話す。今後は商社と各国政府の交渉次第だが、大きなチャンスが訪れているという。
 また今後のワクチン輸送や、その影響を受ける恐れがある国内の低温輸送を支える役割を担う期待も高まる。ワクチン輸送は大量のドライアイスが必要とされ、国は昨年末、製造業者に増産を求めた。だが海産物など他の輸送でも使うため、夏に向け供給不足の懸念も出ている。
 その際、同社が開発した専用保冷剤がドライアイス代わりになるという。中身は企業秘密だが、白い板状で扱いやすい。既に大手運送会社が遺伝子検査用試薬を運ぶ実験に活用した。またマイナス百度以下で細胞を冷凍する必要がある再生医療の研究機関も注目するなど、信用を高めている。
 二〇〇一年創業の同社は従業員四十人の中小企業。主力事業は半導体製造時の温度管理を担う機器の製造で、超低温を保つ技術が評価され、国内外で使われている。下田取締役は「半導体で培った技術で今、命を守る事業に貢献できるのがうれしい」と話した。

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