<お道具箱 万華鏡>車人形 「車」利用で力強い表現

2021年2月26日 07時55分

ロシアのオムスク人形劇場でのワークショップで、車人形の指導をする西川古柳さん(右)

 東京都八王子市に「車人形(くるまにんぎょう)」という芸能が継承されている。「車の人形」って、なんだろう。その謎を解くため、八王子車人形の技芸を継承している西川古柳(こりゅう)座の稽古場を訪れた。
 ニコニコと人懐っこい笑顔で迎えてくれたのは、五代目家元の西川古柳さん。稽古場は旅館の宴会場くらいの広さで、松羽目(まつばめ)の立派な舞台があった。ここで練習したり、小さな公演も行ったりしているそうだ。
 人形の芝居というと、三人で一体の人形を操る文楽が思い浮かぶ。しかし、車人形は一人で一体を遣(つか)う。そこで「車」だ。
 「車はね、人形に付いているんじゃないんですよ。人間が車輪の付いた小さな箱のようなものに腰掛けて、手と足で人形を支えるようにして動かすんです」。車付きの椅子のおかげで、一人で操りながら移動させることもできるのだ。
 ろくろ車と呼ばれるそれは、サドルのようなもの。外からは見えないが、裏返すと三つの車輪が付いている。これに座り、人形の足と人間の足を合体させる。ペダルのない三輪車みたいな感じで、自分の足を床につけて動き回るのだ。だから、操り人形や文楽のように足元がフワフワせず、力強い演技ができる。
 人形の大きさは、百二十センチくらい。重さは約三キロで、重いものだと十キロもあるという。人形の手や頭、目や眉などの細部も含めて、すべて一人で動かす。実際に動かしてもらったが、複雑で頭が混乱しそうだった。
 生の舞台をぜひ見ていただきたいが、自宅で楽しめる映像コンテンツもある。息子の西川柳玉(りゅうぎょく)さんのYouTubeチャンネルだ。若い感性で作られた新鮮な動画で、人形解説のほかユニークなショートムービーも見応えがある。 (伝統芸能の道具ラボ主宰・田村民子)

人形を遣う人が腰掛けるろくろ車

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