激務の記録、将来のために コロナ禍の保健所舞台の映画ただいま撮影中

2021年2月27日 06時00分

保健師(左)に取材する宮崎監督(左から2人目)ら撮影スタッフ=東京都中野区保健所で

 深夜までの業務。土日も出勤する保健師たち…。新型コロナウイルス対策に忙殺される東京都中野区保健所を舞台にしたドキュメンタリー映画の撮影が進められている。「コロナ禍で何が起きたのか多くの人に知ってほしい」。監督の宮崎信恵さん(78)が目指すのは、将来の感染症対策にも役立つ記録映像だ。 (砂上麻子)

◆非難される姿もそのまま

 仮題は「新型コロナウイルス感染症と保健所」。昨年6月から撮影を開始した。ハンセン病患者隔離政策の問題点を指摘した「風の舞~闇を拓く光の詩」などの映画を手がけた宮崎監督が毎月2~3日間のペースで中野区保健所に通い、住民からの問い合わせや感染者対応に追われる保健師、職員の姿をカメラに収めている。

映画の打ち合わせをする宮崎監督(左)と工藤・帝京平成大教授=東京都内で

 マニュアルもなく手探りの対応が続く中、PCR検査を受ける連絡を待つ住民から「連絡が遅い」「見殺しにする気か」と非難され、頭を下げる保健師の姿も撮影した。

◆全国で進む削減に警鐘

 病床逼迫が言われる医療機関に比べ、保健所への注目度は低い。「この経験を雲散霧消させては…」と現場から声が上がり、保健師や大学の研究者らでつくる「公衆衛生保健所活動研究会」がドキュメンタリー映画の製作を企画した。
 「経験した人しか分からない現場の状況を伝えるには映画がいいと思った」。研究会メンバーで、帝京平成大ヒューマンケア学部の工藤恵子教授(58)は振り返る。宮崎監督は「保健所は命や暮らしに直結する重要な役割を担っているが、全国で削減されている。新型コロナは保健所の機能の低下を明らかにした」。登場する女性保健師(25)は「目の前の仕事に追われ、振り返るタイミングがない。今後の対応にも生かしたい」と作品に期待を寄せた。

◆クラウドファンディング3月12日まで

 撮影は今月末まで続け、5月に作品完成、7月に東京都内での披露試写会を予定する。700万円の製作費の多くはインターネットで資金を募るクラウドファンディングでまかなう。目標の400万円は達成したが、3月12日まで支援を呼びかけている。
 クラウドファンディングのサイトは「READYFOR(レディーフォー)」で、「公衆衛生保健所活動研究会」または「宮崎信恵」で検索する。

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