<社説>中部など解除へ ここで緩んではならぬ

2021年2月27日 07時23分
 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い発令中の緊急事態宣言について、政府は愛知、岐阜など六府県の解除を決めた。一つの節目ではあるが、感染再拡大を防ぐためにも、ここで緩んではならない。
 政府は二十六日、愛知、岐阜、大阪、兵庫、京都、福岡の六府県の今月末での解除を決めた。東京、神奈川、埼玉、千葉の四都県については予定通り三月七日に解除できるよう対策を続ける。
 政府は最も深刻な「ステージ4」(爆発的感染拡大)を脱し、「ステージ3」(感染急増)以下に改善することを解除の前提にしてきた。六府県はこの基準をほぼ満たしており、政府の解除決定に一定の理解はできる。
 中部・関西については、愛知県の大村秀章知事と大阪府の吉村洋文知事ら関西三府県の知事が二十三日、政府に月内解除を要請していた。地域経済の回復に責任を持つ知事らの要望にも耳を傾けた先行解除といえる。
 しかし、忘れてならないのは、解除は安全宣言ではないということである。医療現場を中心に「もう少し状況が落ち着くまで待つべきでは」と早期解除を危ぶむ声が根強いのも確かだ。それでも解除する以上、「元のもくあみ」にならぬよう、危機感の維持、より説得力のある感染防止策に一層知恵を絞ってほしい。
 感染対策を助言する厚生労働省の専門家組織も、中部と関西について「高齢者の感染者数の減少に鈍化が見られることなどに留意が必要」と警鐘を鳴らした。感染者の下げ止まりの可能性やウイルスが変異するリスクもあり、官民ともにリバウンド(再拡大)の危険性に十分注意する必要があろう。
 愛知県の二十五日の新規感染者は四十一人と、ピークだった一月七日の一割になった。大村知事は解除後も、飲食店に要請している午後八時までの営業時間短縮を「午後九時まで」に緩和して続ける方針。知事が訴えてきた「行動の変容」が、解除によって急に緩むことのないよう慎重に段階的な緩和を進めてほしい。
 岐阜県は二十四日の病床使用率が20%で「ステージ3」からの脱却が期待できるレベルに改善した。だが、美濃加茂市の病院で発生したクラスターは二百二十人余の深刻な状況だ。
 県独自の緊急警戒宣言を続ける三重県を含む東海三県は経済、生活圏が重なる。県をまたぐ移動が感染拡大につながらぬよう、注意深く見ていく必要がある。

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