福島の園児から東京の警察官へ感謝の手紙 除染後に地域を見守り、帰任しても交流6年

2021年2月27日 14時00分

福島の子どもたちから警察官に送られた感謝の手紙

 「キーホルダーありがとう。コロナにきをつけてね」。福島県田村市立都路こども園の園児らから警視庁の男性警察官(55)の元に、今年も便りが届いた。警察官が安全グッズを贈り、園児らがお礼の手紙や絵を返す。そんなやりとりが続いて6年。東京電力福島第一原発事故後、警察官が福島県警の応援に加わったのがきっかけだった。当時の園長はかみしめる。「見守ってくれる人の存在は、被災地の力になる」 (北川成史)
 こども園は福島第一原発から20キロ余りの場所にある。2011年3月の事故後、避難指示が出たため、園は一時移転。3、40人いた園児らも、仮設住宅などでの生活を余儀なくされた。除染を経て、園が元の場所で再開されたのは、3年後の14年4月だった。
 同月、警察官は全国警察から集められた応援部隊「ウルトラ警察隊」の一員として、福島県に入った。担当地域にある園に、パトロールで立ち寄り、当時園長だった渡辺かつよさん(64)や園児らと知り合った。
 「みんな純粋で、自分が育った地方みたいだ」。警察官は勤務外の日にも度々訪れ、園児らとプールに入ったり、運動会などの行事に参加したりした。
 「園児らは避難生活中、ストレスを感じただろう。保育士は女性ばかりだったし、子どもが思い切り体をぶつけて遊べる人が来てくれて良かった」。渡辺さんは振り返る。
 警察官は15年3月に任期を終え、東京に戻った。今は交番勤務だ。帰京後、個人的に自費で子ども向けの交通安全や防犯用のグッズを買い、園に贈っている。
 渡辺さんは18年3月に退職したが、後任の園長らにお礼の手紙を返すように引き継いだ。
 「あえなくてさみしいです」「なつまつりにきてください」。制服姿の似顔絵入りの園児らの手紙に、警察官は「あと数年で退職だけれど、交流をずっと続けたい」と目を細める。
 震災後、都路地区は過疎化が加速している。「子どもたちは地域に活気を与える宝物です」。渡辺さんは離れた地から届く気遣いに感謝を込めた。

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