「ジェンダー不平等は災害リスクを広げる」 減災と男女共同参画研修推進センター共同代表、浅野幸子さんインタビュー

2021年2月28日 06時00分
インタビューに答える減災と男女共同参画研修推進センター共同代表の浅野幸子さん=東京都豊島区で

インタビューに答える減災と男女共同参画研修推進センター共同代表の浅野幸子さん=東京都豊島区で

<今、変化を 国際女性デー2021>
 東日本大震災を受け、災害対策に多様な立場の視点を反映させる必要性が指摘される中、自治体の防災部門や地方防災会議内の女性割合はいまだ極めて低い。3月8日は国際女性デー。備えや対策に女性がかかわる必要性について、減災と男女共同参画研修推進センター共同代表の浅野幸子さんに聞いた。(小林由比)

◆避難所運営に女性の視点を入れる重要性が浸透

 ―防災対策に女性の視点が必要だという認識は広がっているか。
 「東日本大震災の際、生理用品や下着の配布など衛生面や、性暴力への対策など女性のニーズが配慮されない問題が起きた。これを受け国は2013年、『男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針』を作った。16年には『避難所運営ガイドライン』ができ、運営に女性の視点を入れることの重要性は自治体にも浸透してきている」
 「20年の取組指針改訂版では女性への暴力防止、安全確保があらためて強調されたほか、『子どもや若年女性への支援』の項目も新設され、取りこぼされがちな人たちへの対応を求めている」
 ―防災部門への女性配置は少ない。
 「背景には、発災時に24時間働ける人でなければ配置できない、という意識もある。だが、男女問わず育児や介護など家族ケアのため24時間対応できない立場の職員が入ることで、高齢者や子どもなど災害弱者を守るのに必要な備えが見えやすくなるのではないか」
 「現状では、高齢者や障害者などの『避難行動要支援者』のデータも十分活用できていない自治体がある。基礎データを集め、それを基に備えを啓発するなど、防災部門が担うべき仕事は多様で、制約のある職員も担うことができる。昼間地域にいる割合の高い女性の意見を女性職員が聞きとることも有効ではないか」

◆意思決定の場に女性を増やし、声を反映して

 ―災害時の対策方針を決める場の現状は。
 「16年の熊本地震後の調査では、(発災後に自治体が設置する)災害対策本部会議での女性割合は4.3%で、東日本の時とほとんど変わらない。災対本部は部長以上という自治体が多く女性管理職が少ない現状では割合が低くなるのは必然だ。女性管理職を増やすことに加え、男女共同参画の担当職員を入れるなどすぐにできることはある」
 ―地域防災の現状は。
 「国のガイドラインが求める自治体の災害対応への女性参画は、地域防災にも当てはまる。行政は避難所の立ち上げや近隣での助け合いを地域に求めるが、活動の中心は高齢者、自治会長は高齢男性というケースが多い。性別役割分担を固定せず、意思決定の場に女性を増やし声を反映させるべきだ」
 「首都直下地震などでは、経済的に困窮する高齢女性やシングルマザーなど都市部に多い弱者が、最も過酷な目に遭い置き去りにされる懸念がある。ジェンダー不平等は災害リスクを広げる社会構造。平常時から、あらゆる場面にジェンダー平等の視点を入れていくことが、災害リスクを減らすことにつながるはずだ」

 あさの・さちこ 1973年、東京都出身。阪神・淡路大震災で復興支援を現地で行った後、市民団体で働きながら法政大学院修士課程修了(政策科学)。主な研究分野は地域防災。各地で防災講演・研修を行うほか、国や自治体の防災政策にも関わる。早稲田大招へい研究員。 

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