南三陸で被災したパティシエとボランティア 苦悩と葛藤 ドキュメンタリー映画 11日に池袋で上映会

2021年3月1日 07時26分

「千古里の空とマドレーヌ」の一場面。「ずっと待ってくれる人にマドレーヌを届けたい」と語るパティシエの長嶋涼太さん=いずれも我妻和樹さん提供

 東日本大震災から十年となる十一日、宮城県南三陸町で被災したパティシエの家族と、彼らと交流するボランティアを追ったドキュメンタリー映画「千古里(ちこり)の空とマドレーヌ」が豊島区内で上映される。同区民などでつくる防災ボランティア灯りの会と区が開く東北支援チャリティー上映会。作品は、支援する人と、される人の悩みや葛藤をとらえている。 (小田克也)
 南三陸町の集落・波伝谷(はでんや)は津波で壊滅的な打撃を受けたが、高台のペンションは残った。そこで働くパティシエの長嶋涼太さん(撮影時、三十四歳)が主人公。家族は仮設住宅や避難所での生活を余儀なくされる。義母が営むペンションは亀裂が入り営業できなくなるが、長嶋さんは工房として使い、お菓子作りを再開。関西などから来たボランティアが手伝う。
 支援者も被支援者もさまざまな悩みを抱える。例えば、支援される側はボランティアに感謝しながらも、時として被災者扱いされているのではないかと戸惑う。一方、ボランティアの中には、邪魔になっているのでは、と自問する人も。物語が進むにつれて両者の本音や個人の表情が見えてくる。作品は百十二分。
 二〇一一年十二月から翌年四月にかけて撮影され、登場人物の最近の様子にも触れている。カメラは一家の食卓や、工房で生クリームを泡立てる長嶋さんの手元まで迫る。取材する者と、される者の信頼関係が伝わってくる。

「千古里の空とマドレーヌ」の監督・我妻和樹さん

 監督は、同県白石市出身の我妻(あがつま)和樹さん(35)。波伝谷でドキュメンタリーを撮り続け、獅子舞復活を取り上げた「願いと揺らぎ」は、一七年の山形国際ドキュメンタリー映画祭にノミネートされた。我妻さんは「千古里の空とマドレーヌ」を、「あの時、誰かのために動きたいと思ったすべての人に見てほしい」と話す。都内で上映されるのは今回が初めて。
 防災ボランティア灯りの会は国内の被災地を支援している。これまでのチャリティー上映会でも我妻さんの映画を上映してきた。今回も会場に募金箱を置き、集まったお金や、経費を差し引いた入場料を南三陸町に届けるという。
 上映会は当日、としまセンタースクエア(豊島区南池袋)で午後一時半と同六時からの二回、行われる。入場料は大人千円、高校生五百円など。各回定員百人。前日までの事前予約制。灯りの会のホームページや、問い合わせ先で受け付けている。
 問い合わせは、同会のメール=akarinokaitokyo@yahoo.co.jp=か、豊島区防災危機管理課=電03(4566)2572=ヘ。

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