<選ぶちば2021 知事選争点の現場から>(下)長引くコロナ禍 経済疲弊 空港企業、雇用維持に苦悩

2021年3月1日 07時42分

空港関連企業や従業員の雇用相談に対応する「ナリタJOBポート」。連日、再就職先を探す従業員らが訪れる=成田空港で

 新型コロナウイルスの影響の長期化で、観光業や飲食店を含め、県内経済は悪化の一途をたどっている。今後も厳しい雇用情勢が見込まれる中、企業活動や働く人をいかに守り、支えるのか。新知事にとって喫緊の課題となる。
 格安航空会社(LCC)の相次ぐ新規就航などで国際線・国内線の拡充が進み、二〇一五年時点で周辺九自治体に一兆円超の経済波及効果をもたらしたとされる成田空港。コロナ禍で航空需要は激減し、関連企業も打撃を受けた。成田国際空港会社(NAA)の調査では、回答した関連企業の97%が事業や雇用の継続の懸念を訴えた。
 一月にNAAが設置した雇用相談窓口「ナリタJOBポート」には、一日平均五件ほどの相談が寄せられる。契約更新ができず、再就職先探しや失業給付申請の方法、個人向け融資などの相談者が目立つという。
 雇用を維持しようと相談に訪れる関連企業の担当者も後を絶たない。
 航空機への給油作業のシェア九割を担う日本空港給油(成田市)は従業員の在籍型出向の導入を検討中で、同窓口で出向先の情報や、就業規則修正などの助言を求めている。
 同社は昨年春以降、業務量が従来の40%に減少。百七十人の従業員に対し、一部休業や短時間勤務も実施している。国の雇用調整助成金の現行の特例措置が四月末までで、次の手を打つ準備は急務だ。
 同社の飯高嘉行・企画部総務人事グループ長は「発着回数が今後も伸びると見て人手を確保していた。需要回復時にきちっと業務ができるよう、雇用を維持しなければならない」と焦りを募らせる。
 だが、出向も容易ではない。企業向け相談を担当する産業雇用安定センター千葉事務所によると、物流や介護などの分野は人手不足だが、受け皿は小さい。同事務所の木村岳人統括参与は「成田空港は一つの町。県全体の産業のコアで、裾野が広い。雇用保険に未加入で支援が届かない人もいる」と話す。
 宿泊業界も状況は深刻だ。昨年六月に開業した一宮町のホテル「くじゅうくり」の杉本春枝総支配人は空欄が並ぶ宿泊者名簿に目を落とし、ため息をつく。

週末にもかかわらず空欄が目立つ宿泊者名簿などに目を通す杉本春枝さん=一宮町のホテルくじゅうくりで

 政府の観光支援事業「Go To トラベル」などで一時客足は戻ったが、二度目の緊急事態宣言の発令で、一気に予約がキャンセルされた。「売り上げは想定の一割ぐらい。一日六万円の協力金だけでは全然足りない」とこぼす。
 頼みの綱は東京五輪だ。近くの釣ケ崎海岸はサーフィン競技会場で、大会に合わせて約一カ月間、欧州の代表選手らでほぼ貸し切りになる見込みだが、開催可否は不透明だ。「中止になればどうやって穴埋めすればいいのか」
 県旅館ホテル生活衛生同業組合の調査では、二月二日現在で県内六十一の宿泊施設が休業か休業予定と回答。昨年春以降、八施設が廃業などに追い込まれた。担当者は「県や国には、前年の納税額に見合った割合で直接的支援をしてほしい」と訴える。(小沢伸介、山口登史)

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