<いばらき震災10年>鎮魂ともし 節目で最終章 取手で「ゆめあかり3・11」

2021年3月1日 07時53分

最後の「ゆめあかり」に向け準備する(左から)佐藤良江さん、雨宮由利子さん、鴇田優子さん、小沼定子さん=いずれも取手市で

 東日本大震災の翌年から毎年三月、取手市で一万本を超すキャンドルに灯をともし、犠牲者に鎮魂の祈りを捧げてきた「ゆめあかり 3・11」が今年、発生から十年の節目で最終章を迎える。新型コロナウイルスの感染拡大で、今年は参加者を募らず六日にライブ配信される。主催する市内のまちおこしグループ「ゆめまっぷの会」は「ゆめあかりの灯は消えても、3・11の記憶はとどめてほしい」と願う。 (林容史)
 「あの日を忘れない」
 会の代表でラッピングの講師雨宮由利子さん(71)、新聞販売店経営小沼定子さん(62)、カフェ経営佐藤良江さん(61)、イラストレーター鴇田(ときた)優子さん(46)の四人はそんな思いを込め、ゆめあかりを続けてきた。
 ゆめあかりは、小中学生をはじめ市民が「一歩一歩前へ」「皆で支える」などのメッセージや絵を描いた紙袋で、会場の市役所藤代庁舎前の円形広場を埋め尽くし、紙袋に入れたキャンドルに火を入れ、薄暮の辺りを優しく照らす。
 最初は苦労した。放課後児童クラブなどを訪ね、メッセージを紙袋に書いてくれるよう頼んだが、警戒されることもあったという。それでも紙袋約六千枚が集まり、開催にこぎ着けた。
 二年目から協力者が増えてきた。市内の水道設備会社専務の矢崎崇さん(48)は、紙袋の重しになる砂を最大五トンもダンプで運び込んだ。「著名な団体に頼らず、純粋に協力してくれるボランティアだけに呼び掛けていた」と、会の心意気に打たれたという。

「第5回ゆめあかり 3.11」の様子=2016年3月5日、ゆめまっぷの会提供

 取手、つくばサンライズ両ロータリークラブはキャンドルと紙袋一万セットを寄付。点火用のガスライターもメーカーが無償提供してくれた。
 当日、紙袋を並べてキャンドルに点火し、片付けてくれるボランティアの存在が大きな支えになった。子どもからお年寄りまで、三百人ほどが手伝ってくれたという。その人たちを「ゆめあかりびと」と呼ぶ。
 佐藤さんは「鎮魂のため何かやりたいのに、何をしていいか分からなかった人たちが参加してくれた」と振り返る。小沼さんも「『つながりたい』『かかわりたい』という思いが輪になってここまで来た」。
 しかし、3・11以降も県内含め全国で災害が相次ぎ、東日本大震災に限定することに違和感が出始めた。また、協賛金集めなど準備に追われ、ほかの活動がおろそかになっていた。「十年をひと区切りにしよう」。四人の意見が一致した。
 子育て中に活動に飛び込んだ鴇田さんは、子どもたちと一緒にキャンドルを並べた。「子どもが大人になったとき、私たちの後ろ姿を思い出してもらえれば。何のために続けたのか、その意味を思い出してほしい」と希望を込める。
 雨宮さんは「こんなに活動が大きくなるなんて思ってもみなかった。東北の被災地に私たちの思いが伝わっていてほしい」と言葉を結んだ。
 活動に賛同し、会場でステージの運営を担ってきた市内の自営業岡野譲さん(58)は「まだ復興は終わっていない。違った形で受け継げれば」と力を込める。
 最後の「ゆめあかり」のライブ配信は三月六日で、藤代庁舎の広場に「フクシマ」の読み方を数字で表した2940にちなみ、二千九百四十個の紙袋を並べて灯をともす。地震が発生した午後二時四十六分ごろから会場の様子を配信する。
ゆめあかりの配信
http://yume-akari.toride-fun.com/

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