<鉄道クラブ>元祖ファンは誰か

2021年3月1日 11時53分

日本鉄道5500形機関車と岩崎輝弥=鉄道博物館提供

 鉄道ファンは国内に150万人から200万人もいるという。では日本で鉄道趣味を始めた人は誰? 三菱財閥の岩崎家の一員・岩崎輝弥と、昭和金融恐慌の引き金になった渡辺銀行の経営者一族、渡辺四郎の2人組が有力なようだ。
 2人は当代きっての写真師小川一真とともに、明治末の数年、北海道から九州まで駅や機関車を撮影して回った。着手当時、岩崎15歳、渡辺22歳。渡辺の親戚に鉄道技師がおり、渡辺の弟と岩崎が同級生だったという。学生服に帽子をかぶり、機関車の前に立つ岩崎は、いかにもお坊ちゃん然としている。
 当時の鉄道は先端技術。どんどん路線が延び、さまざまな機関車を英米から輸入していた。いずれも個性的で、さぞ面白かっただろう。撮影には大判カメラを用い、ガラス板に映像が記録された。その数3500点。解像度が高く、資料としての価値も優れている。だが日記の類いは伝わらず、どんな思いで旅をしたのかは謎である。
 両人とも日本有数の金持ち一家に生まれながら、実業で名を残すことはなく、若い頃の趣味が後世に伝えられた。お金の使い道に困っている人には参考になる生き方かもしれない。 (社会部・吉田薫)
 ツイッターの「東京新聞鉄道クラブ」のメンバーである本紙記者のリレーコラムです。

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