Qアノンのデマ拡散「3月4日トランプ前大統領が再び就任」当日のホテル室料値上がり、陰謀論に拍車

2021年3月1日 14時14分
SNS「テレグラム」に投稿された、3月4日にトランプ氏が大統領になるとする書き込み=杉藤貴浩撮影

SNS「テレグラム」に投稿された、3月4日にトランプ氏が大統領になるとする書き込み=杉藤貴浩撮影

 米国の陰謀論「Qアノン」信奉者らに「3月4日にトランプ前大統領が再び就任する」というデマが広がっている。同日が就任式だった20世紀前半までの慣習にちなむ偽情報だが、ワシントンにあるトランプ系ホテルの当日室料が値上がりするなど、熱狂的な支持者が首都に再び集結するとの観測も強まっている。(ニューヨーク・杉藤貴浩)

◆FBI「国内テロにつながる脅威」

 「3月4日、神がわれわれの第19代大統領ドナルド・トランプを祝福するだろう」。現在、ツイッターなどで投稿を規制されたQアノン信奉者らが集う会員制交流サイト(SNS)「テレグラム」では、こうした書き込みがあふれている。他の内容も「それまでフェイクニュースを信じるな」「数日間はカードやインターネットが使えなくなる。食料、水を準備しよう」などと、まるで革命でも起こるかのような書きぶりだ。
 陰謀論に詳しい専門家によると、3月4日説は1933年に就任したフランクリン・ルーズベルトまで歴代大統領の就任式が行われていた史実に加え、「ソブリン・シチズン運動」という既存の反体制主義の思想と合体して生まれた。
 これは、19世紀後半以降の米国は陰謀によって国家ではなく株式会社になっており、法に従う義務はないとする荒唐無稽な内容だが、米連邦捜査局(FBI)は「国内テロにつながる脅威」と認定している。

◆Qアノン、固有の思想少なく

 バイデン大統領が46代目にもかかわらず、最近のQアノンの書き込みの多くが、トランプ氏を「第19代」と呼ぶのも、「株式会社化」以降の大統領を認めないとする思想を反映したものだ。
 トランプ支持者の動向を調べるジャーナリストのザック・エバーソン氏は「バイデン氏の勝利は不正だとするQアノン信奉者は、1月20日の就任式に同氏らが投獄か処刑されると信じていたが、実際は何も起こらなかった。そのため就任日自体が違っていたという説に飛び付いた」と指摘する。「そもそもQアノンには固有の思想は少なく、旧来の陰謀論からの寄せ集めも多かった。予言が外れた時、他の過激思想を借用するのもよくあることだ」

◆3月3~4日が室料2倍以上に

 ただ、エバーソン氏が今回注目するのは、ワシントンでトランプ一族が経営する「トランプ・インターナショナル・ホテル」の室料が、3月4日と前日の3日だけ跳ね上がっていることだ。米誌フォーブス(電子版)によると、この2日の室料は基本クラスで約1300ドル(約13万6000円)と、通常の2倍以上になっている。
 同ホテルは、ワシントンでトランプ氏に関連する政治イベントがあると室料が上がることが知られており、熱狂的な支持者が連邦議事堂を襲った1月6日は、もっとも安い部屋でも8000ドルだったという。
 ホテル側は本紙の取材依頼に応じず、今回の室料の上昇が3月4日説に影響されたQアノン信奉者らの予約殺到によるものか、ホテル側の意図的な値付けなのかは判然としない。
 エバーソン氏は「今のところ、当日の具体的な場所や時間にQアノン信奉者らの集会が計画されているという情報は把握できない」とする一方、「ホテル室料の値上がり自体が『やはり当日何か起きる』という陰謀論を余計に強めている」と警鐘を鳴らしている。

Qアノン 民主党や財界などの小児性愛者、「影の国家」が世界を支配すると主張する極右陰謀論。トランプ氏をそれらと戦う救世主とする。熱心な層だけで数十万人とされ、同氏の大統領選敗北で一部の過激化が懸念されている。連邦議事堂襲撃事件にも信奉者が加わっていた。2017年にネットで「Q」を名乗る人物が書き込みを始めた。アノンは、匿名を意味する「anonymous(アノニマス)」に由来。

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