表現が過激? 「デスノート」「いぬやしき」…ロシアで日本アニメが続々禁止に

2021年3月1日 18時14分
 「表現が過激」「子どもの健全育成を妨げる」―。そんな理由から、ロシアの司法当局が日本アニメを相次いで禁じている。禁止リストには、原作の漫画のシリーズ累計発行部数が3000万に達する「デスノート」などの人気作も。秋葉原的なサブカルチャーが愛されるロシアで、何が起きているのか。

2019年3月、モスクワの日本文化イベントでコスプレを披露する女性たち

◆「有害」として、12作品が禁止に

 ロシア・サンクトペテルブルクの裁判所は1月、検察の申し立てを受けて「デスノート」「いぬやしき」「東京喰種」などのアニメについて、特定のサイトでの配信を禁じた。
 デスノートは、名前を書いた人間を死に至らしめるノートを軸に展開する。ロシアでは2013年、中部エカテリンブルクで飛び降り自殺した少女(15)がデスノートの漫画を読んでいたとして「有害なアニメ」との見方が出ていた。
 裁判所はデスノートを皮切りに禁止アニメを増やしており、その数は2月末までに12に上る。漫画の発行部数が世界で累計1億5000万超の「NARUTO―ナルト―」も近く審理される見通し。

モスクワで日本アニメのファンが集う専門店

◆政権の保守傾向がブームに冷や水?

 アニメの描写のあり方は以前から議論の的だった。今になって禁止令が出るのはなぜか。
 独立系メディア「メディアゾーナ」によれば、裁判所の審理に参加した専門家は「男か女か区別できないキャラクターが登場する」として「アニメには性的倒錯や同性愛の傾向がある」と指摘したという。
 ロシアでは同性愛に対する風当たりは強い。昨年夏に発効した改正憲法でも「結婚は男女がするもの」と明記された。保守色を強める政権の大方針が、アニメ禁止の一因になっている可能性もある。

◆人気を支える「プーチン世代」

 「アニメの禁止はナンセンス。『罪と罰』(ロシア作家ドストエフスキーの小説)にも過激なシーンがあるが、発禁などの議論はない」。モスクワのアニメグッズ店で働くニキータさん(26)は首をかしげる。店ではロシア語版の漫画やアニメのフィギュア、抱き枕などがそろい、多い日は500人もの客が訪れる。
 アニメ人気を支えるのはプーチン氏が大統領に就任した2000年以降に生まれた「プーチン世代」だ。特に07年から子育て手当(通称・母親資本)が導入されると、合計特殊出生率(女性1人が産む子どもの数)が跳ね上がり、日本発のアニメやコスプレを好む厚い層が形成された。
 アニメを扱う人気ブロガーのキリル・ソエロフさんは「ロシアでは、スタジオジブリの作品が圧倒的に知名度がある」とし、愛知県で来年に開業予定のジブリパークについて「ロシアでも注目を集めるだろう」と分析した。(モスクワ・小柳悠志、写真も)

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