菅首相、またも読み誤り 山田広報官「続投」から一転「辞職」で政権の見通しの甘さ鮮明に

2021年3月2日 06時00分
 菅義偉首相の長男正剛氏らから高額接待を受けていた山田真貴子内閣広報官が1日辞職し、首相は「ご迷惑をおかけし大変申し訳なく思う」と陳謝した。首相は、接待が国家公務員倫理法違反と認定された後も山田氏を続投させ、2月26日には山田氏が司会を務めるはずだった記者会見を回避したが、辞職という結末。接待問題の深刻さを読み誤り、コロナ対応に続いて政権の見通しの甘さがまたも鮮明になった。(上野実輝彦)

◆「乗り切れる」という「楽観」

 「後手に回ったとは思わない」。首相は1日夕、官邸で記者団から山田氏の進退問題への対応を問われ、こう反論した。
 正剛氏が勤める東北新社から山田氏が約7万4000円分の飲食接待を受けていた問題は、2月に発覚した。山田氏は責任を取る形で給与の自主返納を表明したが、首相は厳重注意にとどめ「女性広報官として期待している」と強調。その直後の26日、新型コロナウイルス緊急事態宣言の一部解除を決めた際は、いったんは開催の準備を進めた記者会見を見送った。
 野党は「山田氏隠しだ」と批判したが、政権内では「山田氏は謝罪も済み、反省も表明した。堂々としていればいい」(政府関係者)などと、問題を乗り切れるとの見方が強かった。首相は山田氏の問題と会見見送りについて「全く関係ない」と言い切った。

◆いら立ちあらわ、会見が裏目に

 首相は代わりに応じた記者団の囲み取材で、会見の必要性や山田氏の問題を再三問われると、徐々にいら立ちを深めていった。「必要なことには答えているのではないか」「同じような質問ばかりではないか」と語気を強める様子が中継され、インターネット上などで「投げやり」「みっともない」といった反発が拡大した。
 結局、政権のコロナ対応に関する国民の理解も十分に深まらなかった。国民民主党の玉木雄一郎代表は1日の衆院予算委員会で首相の記者対応に関し「印象に残ったのは『解除』の言葉と首相の不機嫌な顔だけ。国民に何を求めるかを伝える貴重な機会を逃した」と指摘した。

◆当事者感なく「逃げている」印象

 首相は総務相時代、正剛氏を秘書官に起用し、首相就任時に山田氏を広報官に任命した。しかし、接待問題が発覚して以降、任命責任や説明責任に触れるのを避ける姿勢が目立つ。
 問題が報じられた当初の国会答弁では、自身と正剛氏は「別人格だ」として距離を置いた。その後の調査で、正剛氏による総務省幹部への接待が裏付けられると「国民におわびする」と陳謝はしたものの、「(接待は)全く承知していなかった」「総務省でしっかり調査する」などと、当事者意識を欠いた答えを繰り返した。
 1日の衆院予算委でも、立憲民主党の山井和則氏から「首相の息子がいなければ、優秀な官僚が違法接待を受けるわけがない」と追及されたが、首相は「私が申し上げるべきではない」と正面から答えなかった。
 日本経済新聞の2月26~28日の世論調査では、接待問題に対する首相の説明を69%が「納得できない」と答え、「納得できる」の17%を大きく上回った。立民の枝野幸男代表は1日、記者団に「一連の流れの中で、政治家としての首相の話はひと言もない。逃げていると言わざるを得ない」と批判した。

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