<太いやつどうして九両三分二朱>。落語ファンならおなじみの…

2021年3月2日 06時48分
 <太いやつどうして九両三分二朱>。落語ファンならおなじみの古川柳だろう。かつての窃盗は十両が量刑の分かれ目だったそうだ▼十両を盗み、捕まれば、首が飛ぶ。それを恐れて、ず太いやつは十両にぎりぎり届かぬ九両三分二朱だけ盗んだというが本当か▼決して盗んだわけではない。が、お役人が利害関係者から七万円を超える接待を受けていたとあれば、これが六万円でも五万円でも世間は収まるまい。菅義偉首相の長男が勤務する放送事業会社「東北新社」側から高額の会食接待を受けた山田真貴子内閣広報官がついに辞職した▼最近、よく耳にする「キャンセルカルチャー」とは失言や問題を起こした人物を徹底的に攻撃し、排除に追い込む風潮のことだそうだ。その是非はともかく、エリートの不祥事、しかも一般市民の金銭感覚とはかけ離れた高額ゴチとくれば、世間が「キャンセル(辞めて)」と叫ぶのも無理はない▼しかも首相のお坊ちゃんもからんでいる。給与自主返納で済むはずがなく一時、山田さん続投で決め込もうとした首相官邸も世の中の冷たい眼差(まなざ)しが見えていない▼体調を崩し、入院したと聞く。ただだったはずの和牛ステーキと海鮮料理は途方もなく高くついた。ご病人にあまり皮肉も言いたくないが、「東北新社」に食べ歩きのCS番組でも作ってもらえばよい。さぞや口は肥えている。

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