民主派は非愛国者…中国政府が香港の選挙制度を“見直し”「愛国者による香港統治」で民主派完全排除へ

2021年3月2日 23時13分
2月22日、北京の会議で演説する中国政府香港マカオ事務弁公室の夏宝竜主任=全国香港マカオ研究会のホームページから、共同

2月22日、北京の会議で演説する中国政府香港マカオ事務弁公室の夏宝竜主任=全国香港マカオ研究会のホームページから、共同

 【上海=白山泉】中国の習近平しゅうきんぺい政権は、5日に始まる全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で、香港の選挙制度の全面的な見直しを検討する。「愛国者による香港統治」を理由に、民主派勢力を立法会(議会)などから徹底的に締め出す制度をつくる見通しだ。
 香港政策を担当する香港マカオ事務弁公室の夏宝竜かほうりゅう主任は2月22日の演説で「愛国者のみによる香港統治」の必要性を強調し、「中央政府主導による選挙制度の見直し」を最優先課題に挙げた。全人代で大枠を決めた上で、閉幕後の全人代常務委員会で制度の詳細を詰めるとみられる。
 演説では制度の具体的な内容には触れなかったが、夏氏は「共産党に反対する勢力はすべて『愛国者』ではない」と指摘しており、中央政府の判断によって「愛国者」かどうかを審査する仕組みになるとみられる。
 香港民主派は「愛国者による統治」は「党を支持して命令に従う者と同じ意味だ」と反発。香港メディアは、民主派勢力を「非愛国者」として立候補を阻む制度が創設される見通しと伝えており、これまで一定の勢力を保ってきた民主派が完全に排除される恐れがある。
 香港では今年9月に立法会選挙、来年6月までに林鄭月娥りんていげつが長官の後任を決める行政長官選挙が予定される。今回の選挙制度見直しで、香港立法会は全人代と同じように政権の意向を追認するだけの機関になりそうだ。行政長官を選ぶ選挙委員会から区議会議員を排除する案も取り沙汰されている。
 上海の党関係者は「香港はもう終わりだ。従来の統治はもう少し長く続いたかもしれないが、デモのせいで終わった」と話し、19年の大規模デモが昨年の香港国家安全維持法(国安法)の導入はじめ中国政府による統制強化の引き金になったとの見方を示す。
 香港政府も習政権の意向に合わせるように、2月23日に立法会議員らが就任時に義務付けられる「中国と香港への忠誠」の宣誓を区議にも拡大する条例改正案を発表した。違反者は失職し、5年間は選挙に出馬できないことになる。
 香港政府幹部は改正条例が施行されれば、香港政府に忠誠を示していない4人の区議がただちに資格停止になるとも予告した。19年の区議選では民主派が約450議席のうち8割の議席を獲得したが、民主派の中では今後、区議会議員の大量排除が行われることを懸念する声が出ている。

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