<新型コロナ>1月の病床逼迫時 福祉施設に 川崎市、119番抑制求め文書 市議会代表質問「やむを得ない対応」

2021年3月3日 06時48分
 神奈川県内の新型コロナウイルス感染症患者の受け入れ病床が逼迫(ひっぱく)していた一月、川崎市内の福祉施設からの一一九番通報が多発し、地域救急医療に深刻な影響を与えているとして、市が独自に入院要請の目安を記した文書を福祉施設側に出し、通報抑制に協力を求めていたことが明らかになった。二日行われた川崎市議会定例会の代表質問で市側が答弁した。 (安藤恭子)
 市によると、この文書は一月十八日付で市が出した「蔓延(まんえん)期における高齢者・障害者施設内陽性者の入院対応について(協力要請)」。昨年末から一月中旬にかけて、全県で病床に余力がなく、比較的軽症の患者は入院させずに、同じ福祉施設内などでの療養継続を求める状況にあった。
 文書では「施設からの軽症・無症状の一一九番が多発し、救急隊の長時間拘束や救急医療機関への過負荷が起きている」と指摘。入院要請の目安として▽呼吸状態の著しい悪化(酸素投与なしで血中酸素飽和度92%未満等)▽意識状態の著しい低下▽二十四時間以上、食事水分摂取全く不可−を提示。この目安以外の症例の入院調整は「極めて困難」とし、入院要請を行う場合も救急や病院ではなく、日中の区役所に依頼するよう求めていた。
 酸素飽和度は一般に95%を下回ると危険な状態とされ、県の指標でも93%以下は「ハイリスク者」として保健師らが電話で状況を聞き取ることになっている。代表質問では岩隈千尋議員(みらい)が「本市と県で運用指標に違いが生じている」。宗田裕之議員(共産)が「福祉施設からの一一九番通報を制限するというのは『命の選別』ではないか」とそれぞれただした。
 市側は「より重症な人を優先した入院調整を行った。医療現場の混乱解消のため、実情を踏まえた目安を示し協力をお願いした。救える命を守る観点からやむを得ない対応であった」(健康福祉局)と認識を述べた。受け入れ病床の拡充やコロナの入院数が減少した一月下旬以降、運用は改善。二月十二日付で県基準に沿った入院調整を行うとする文書を発出したという。

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