<社説>みずほ銀行障害 再発防止こそ最優先だ

2021年3月3日 08時06分
 「またか」と思った預金者も多いだろう。みずほ銀行の現金自動預払機(ATM)が全国で一時停止した。大規模障害は三度目であり、顧客サービスのあり方を根底から見直すよう強く求めたい。
 ATMの不具合は先月二十八日の午前中から始まった。通帳やキャッシュカードが吸い込まれ戻ってこないという事態が全国で五千二百件以上も起きた。
 多数の顧客がATM前で立ち往生する中、みずほの対応は極めて鈍かった。ホームページでの注意喚起が事態発覚の約二時間後。行員の出勤指示は三時間半後だった。対応の遅さが被害を拡大させたことは間違いないだろう。
 みずほは、銀行再編で再スタートを切った二〇〇二年四月一日にも金の出し入れができなくなる大規模システム障害を起こした。東日本大震災直後の一一年三月には義援金の振り込みをめぐって大きなトラブルが発生した。
 これほど大規模な障害が三回起きている以上、みずほのシステム管理に依然、構造的な問題があるとの疑いを持たざるを得ない。
 長期化する大規模金融緩和を背景に、銀行業界では利ざやを稼ぐという本来のビジネスモデルが崩壊しつつある。メガバンクは富裕層を念頭に置いた投資運用などに業務戦略の軸足を移している。他方、政府のキャッシュレス振興策を追い風に経費のかかるATMの台数を各行が削る方向にある。
 経営環境の変化に伴い、一般の預金者への意識がおろそかになり、障害や対応の不手際につながったのなら猛省が必要だ。
 みずほの前身である第一勧業銀行は一九七一年、第一銀と日本勧業銀が合併して誕生した。バブル崩壊後の九九年には第一勧銀と日本興業銀、富士銀が経営統合してみずほフィナンシャルグループとなることが発表された。
 巨大銀行の統合で最も重要なのは企業風土の違う銀行同士の融和である。その初期課題が他のメガバンクと比べ進んでいないとの見方が、統合後約二十年を経てもなお存在することも指摘したい。
 金融庁は行政処分である業務改善命令を出すことを検討中だ。障害は繰り返されており、厳しくメスを入れるべきだ。
 金融機関が行う業務は電気やガス、水道と同様、生活の基本を支えている。
 みずほ自らも社会基盤サービスの担い手であるとの自覚を改めて認識し、再発防止に全力を傾けなければならない。

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