記憶伝える先人の丘 津波で流出した共同墓地再生へ 浪江町・請戸地区

2021年3月3日 19時40分

東日本大震災の津波で被災したままの姿で残る請戸共同墓地。倒れた墓石の間を風が吹き抜け枯れ草を揺らした=福島県浪江町で(ドローンから撮影)

 2011年の東日本大震災で大きな被害を受けた福島県浪江町で、被災当時の風景をとどめる請戸共同墓地が、慰霊の場所に生まれ変わろうとしている。

倒れた墓石の奥には、震災後に整備された水産加工場などが見える=福島県浪江町で

 町は今春決定予定の第3次復興計画案に、墓地の敷地0.7ヘクタールの整備を盛り込んだ。散らばったままの墓石を集め、土で覆った「先人の丘」を造る。丘の前には祭壇も設け、祖先や震災の犠牲者に静かに祈りをささげる場所にする。
 震災時の津波で、海岸から約600メートルの請戸共同墓地は墓石や遺骨が流出した。15年に高台に町営の霊園が整備された後も、請戸共同墓地は手付かずの状態が続いてきた。
 請戸地区の区長を務める鈴木市夫さん(81)は、丘の整備を町に要望してきた。「荒れ放題の墓地を見るたびに、忍びないような、泣きたいような気持ちになっていた」
 福島第一原発事故で浪江町は全域に避難指示が出た。住民の一部は今も町外に住む。2月13日の地震では震度6弱の揺れに見舞われた。震災の記憶は10年たった今も残る。
 時が止まったような墓地。津波に見舞われた海岸から、堤防工事の重機の音が響いていた。(写真と文・潟沼義樹)

PR情報

社会の新着

記事一覧