<Q&A>テレワーク手当の実費支給 導入企業はなぜ少ない?

2021年3月4日 06時00分
 新型コロナ感染拡大で大手企業を中心に「在宅勤務手当」を支給する動きが広がっています。しかし、企業の手当の大半は「一律支給型」で課税対象です。非課税の恩恵があるのに、「実費支給型」の導入企業はなぜ少ないのでしょうか。(大島宏一郎)
 Q 国税庁が一律支給型に課税する理由は何ですか。
 A 給与の一部とみなしているからです。住宅手当や家族手当など、実際の費用と関係なく支給金額があらかじめ決まっているものと同じ扱いです。
 一方、出張手当のように、従業員自身が会社の代わりに立て替えた経費が返金される場合、給与に含めず課税対象から外すルールとなっています。在宅勤務手当の実費支給型が非課税の恩恵を受けられるのもこのルールがあるからです。
 Q 在宅勤務手当では、一律支給と実費支給のどちらを導入している企業が多いですか。
 A 富士通やキリンホールディングスなど大手で導入が進む手当の多くは一律支給です。在宅勤務の実態に詳しいパーソル総合研究所の小林祐児氏も「一律の方が圧倒的に多い」と指摘しています。民間の調査機関「労務行政研究所」が全国の企業約450社を対象にした調査でも、手当を定額で支給する企業は全体の9%超でしたが、通信料や電気代など「費目ごとに支給」する企業はわずか3%超です。
 Q 非課税の恩恵があるのに、実費支給を導入している企業が少ないのはなぜですか。
 A 「支給額の計算に手間がかかるから」(労務行政研究所の担当者)です。企業側に実費支給でなく一律支給を選んだ理由を聞くと、ある大手の広報担当者は「経費精算を基に手当を支給するのは従業員の数が多くて難しい」と説明しています。
 Q 実際に、非課税の恩恵を受けている従業員は少なそうです。
 A そもそも、テレワークを導入している企業がまだ多くありません。日本生産性本部の1月調査によると、政府は出勤者の7割減を要請していますが、テレワークで働く人の割合は全体の2割と低いのが現状です。
 給与計算に関する著書を持つ社労士の井寄いより奈美さんは「国が在宅勤務を推奨するなら、通勤手当のように非課税枠を定額で設けるなど、(計算の手間が少ない)簡単な制度で新しい働き方に対応した方が良い」と提案しています。

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