地震保険「ぜひ加入を」 保険料で二の足? 3割超が未加入

2021年3月4日 07時22分
 東日本大震災以降、保険料の値上がりが続く地震保険。頻繁に揺れる国土にあって必要性は高いのに、今も三割超の人が未加入だ。新型コロナウイルスの影響で家計への不安も広がる中、ファイナンシャルプランナーの清水香さん(52)=写真=は「地震による損害から家計を守るためのほぼ唯一の手段。生活再建への備えとして加入を」と呼び掛ける。 (砂本紅年)
 地震保険は単独では加入できず、火災保険とセットで契約する。損害保険料率算出機構によると、火災保険の加入者のうち、地震保険にも入っている人の割合は年々増えているが、二〇一九年度で66・7%にとどまる。
 地震や津波で自宅が全壊した場合、国の「被災者生活再建支援制度」で最大三百万円の支援金が受けられる。ただ、すぐには届かない。住宅ローンが残っていれば返済は続き、新たにローンを組めば二重ローンに苦しむ。
 「ひとたび大地震が起きると損害が大きく、公的支援も少ない。こうしたリスクには保険で備えるのが鉄則」と清水さん。地震保険は、政府と損害保険各社が共同で運営している。支払額が大きくなれば、国が保険金を立て替え払いするので信用性も高い。
 同機構の一九年の調査では、未加入の理由で多かったのは、保険料の高さに関するものだった。保険料は一七年から三段階に分けて引き上げられ、全国平均で一七年に5・1%、一九年に3・8%、今年一月に5・1%と、計14・7%の値上げとなった。清水さんは「大地震の発生リスクが高まっているため。保険料の高い地域ほど切迫性があると考えて」と指摘する。
 一方、建物の免震・耐震性能、築年数などで保険料が割り引かれるケースもある。最長五年の契約期間を一年ではなく、二年以上にすれば、一度に支払う保険料は増えるものの、一年ごとより5〜7%安くなる。
 他の未加入の理由で目立つのが「地震保険だけでは全ての再建費用を賄えない」だ。確かに地震保険の保険金額は、火災保険の設定額の最大50%まで。限度額も建物五千万円、家財一千万円だ。しかも「全損」「大半損」「小半損」「一部損」の四区分のうち、保険金が満額支払われるのは、建物の柱や壁などの主要構造部が時価の50%以上損害を受けるなどした「全損」のみ。とはいえ、清水さんは「ある程度のまとまったお金が受け取れれば生活再建の大きな力になる。ゼロか百かで切り捨てないで」と強調する。
 特約で補償額を上乗せできる商品も一部の損保会社から出ている。保険料は高くなるが、被災時に火災保険で設定した保険金額と同額の補償をつけることも可能だ。他にも地震保険を補完する少額短期保険を出す保険会社もある。
 組合員が掛け金を出し合う火災共済では、地震損害に対する保障額が小さいものもあり、「住宅ローンが残っている人や貯蓄の少ない人などは、損保会社の地震保険への加入が望ましい」と清水さん。最近はコロナ禍で健康に不安を感じ、民間の医療保険に加入する人も目立つが、医療費は充実した公的制度と貯蓄で備えることもできる。「一般的な家計では、地震保険の優先度が高いと知ってほしい」と訴える。

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