<あの日から 東日本大震災10年>今こそ「絆」思い出そう 福島・大熊町の子ども支援 伊豆の国の団体代表・市川幸子さん

2021年3月4日 08時10分

支援する子どもからのお礼の手紙などを手にほほえむ市川さん=伊豆の国市で

 「新型コロナウイルス禍で誰もが大変な思いをしている。そんな状況でも東北を忘れない」。東京電力福島第一原発事故後、避難生活を送る福島県大熊町の子どもの支援を続ける、伊豆の国市の市川幸子さん(59)が力を込める。東日本大震災から十年の三月十一日。伊豆市内で三千百十個のキャンドルを「絆3・11」の字や富士山、伊豆半島の形に並べ、灯(とも)す。 (渡辺陽太郎)
 市川さんは、伊豆の国市内のボランティア団体「YAMANEKO楽舎」代表で元小学校教員だ。二〇一三年五月、福島県西部の観光地・五色沼(ごしきぬま)を訪れた。人は少なく、風評被害を実感させられた。地元民芸品「起き上がり小法師(こぼし)」を買った。転んでも起き上がる姿に、復興に向け必死に生きる福島の人々が重なった。
 翌月、有志で団体を結成、イベントなどで民芸品の販売を始めた。間借りする福島県会津若松市の廃校舎で学ぶ大熊町の子どものため、収益から約百五万円を寄託。図書館の本の充実などに充ててもらった。
 子どもたちは故郷を離れたうえ、さらに他の街に転居する子もいて、別れが多い。だが将来の夢を語る授業では「災害救助犬の訓練士になる」「得意の卓球で五輪に出て福島を盛り上げる」と希望を語っていた。

福島の小学生の運動会に参加する市川幸子さん(中)=福島県会津若松市で(本人提供)

 こうした様子を静岡の小中学校の授業や、写真展で伝えている。県内の子たちは「知らなければいけないことが分かった」「常に(災害に)気を付けたい」など真剣に受け止めてくれている。
 ただ近年は、被災地の民芸品の売れ行きは鈍っている。関心が薄れ、コロナ禍で人々に余裕がなくなっていると感じる。
 キャンドルを灯すプロジェクトを企画したのは、「コロナ禍で(感染者らへの)誹謗(ひぼう)中傷が相次ぐ今こそ、あの時に育まれた絆を思い出そう」との願いから。地元企業などが約四十五万円を支援してくれた。キャンドルに東北へのエールを書いた用紙を巻き、ガラス瓶に入れる。伊豆の国市内の児童も手伝ってくれた。
 二月十三日、東北を再び強い揺れが襲った。市川さんは「静岡でも停電し、嫌でも十年前を思い出した。キャンドルは東北にエールを送るだけじゃない。災害時の自分たちの姿も考える機会にしたい」と話す。
 地元有志やボランティア関係者ら約百人が参加し、伊豆市の狩野川記念公園で午後五時から順次、点灯する。動画投稿サイト「ユーチューブ」でも配信(「まるごと!いずのくに」で検索)する。

関連キーワード

PR情報

静岡の新着

記事一覧