【独自】外環道、トンネル掘削工事を2年凍結 調布の陥没問題で一部区間 地盤補修を優先

2021年3月5日 06時00分

東京外環道の地下トンネルを掘削しているシールドマシン。2019年1月に報道陣に公開された=東京都練馬区で

 東京外かく環状道路(外環道)のトンネル工事ルート上にある東京都調布市の住宅街で、陥没や空洞が発生した問題を受け、東日本高速道路はシールドマシンによる掘削工事を一部区間、今後2年間凍結し、地盤補修を優先する方針を固めた。複数の関係者が明らかにした。関越道と東名高速をトンネルで結ぶ事業の完了は、大幅に先送りされる事態になった。(花井勝規、梅野光春)

◆東日本高速「長期化はやむを得ない」

 同社は本紙の取材に「住宅や地盤の原状回復を優先する。工事の長期化はやむを得ない」と説明した。
 計画では、関越道大泉ジャンクション(JCT、練馬区)と東名高速の東名JCT(仮称、世田谷区)を、南北約16キロのトンネル2本で結ぶ。計7基のシールドマシンで掘削が進められていたが、昨年10月の陥没発生後はすべての工事を休止している。
 2年間凍結するのは、東名側から北に掘り進めてきた「東名北工事」と呼ばれる2本のトンネル工事のうちの東日本高速が担当する南行きトンネルで、工区は世田谷区大蔵―武蔵野市吉祥寺南町の約9キロ。残る6基による工事再開については今後、判断する。
 同社の有識者委員会(小泉淳委員長)は先月、陥没や空洞の発生に関し、シールドマシンの施工ミスと現場の特殊地盤が要因とする調査結果を発表した。
 これを受け、同社は調布市内のルート上約360メートルの範囲で、トンネル掘削によって生じた地盤の緩みを補修する工事を2年かけ実施すると表明。トンネル工事の影響で損傷被害が出た住宅に補償を行う方針も示していた。
 道路住民運動全国連絡会の前事務局長橋本良仁さん(75)は「約40年、道路問題に向き合ってきたが、国の重要な道路計画で2年も工事が止まる例は聞いたことがない。人が住むところなのに事前の地盤調査がずさんだった」と強調する。

◆<記者解説>並行する北行きの工事再開、焦点に

 東日本高速道路が東京都調布市の地下でのトンネル工事を2年間凍結することになり、地元住民の最大の関心は、数メートル東に並行して建設される北行きの2本目のトンネルの工事が再開されるかどうかに移った。再開されれば、軟弱地盤の現地で、同様の被害が繰り返されかねないと不安を募らせる。
 2本目のトンネルを掘削していたシールドマシンは他の6つと同様、昨年10月の市道陥没発生後、稼働を停止している。停止位置は調布市東つつじケ丘3丁目の松原通り付近で、あと数100メートルでマシンによる振動で家屋に損傷被害が発生したエリアに入る。
 工事を担当する中日本高速道路は「東日本高速の有識者委員会が月内に出す再発防止策を踏まえ、工事の再開時期などを検討する」と述べるにとどめている。
 双方のトンネル工事が長期間止まれば、リニア中央新幹線など大深度地下使用法に基づく地下トンネル工事の見直し論が強まる可能性もあり、慎重な姿勢を取っているとみられる。
 昨年9月以降の振動被害では、トンネル直上よりもその東側でより深刻なひび割れや地盤の沈下がみられた。
 「対策をしないと2本目の工事の振動はもっと大きくなる」「中日本高速が東日本高速と同様に工事を凍結するかどうかが分からない限り安心できない」。住民らは警戒を解けずにいる。(花井勝規)

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