東京大空襲犠牲者10万人の言葉届け 鈴木一琥さんダンス公演 コロナ禍で初の動画配信も

2021年3月5日 07時12分

東京大空襲犠牲者の「言葉」を肉体で表現する鈴木一琥さん(手前)と、手持ちカメラで動画用に撮影する馬杉真理子さん=台東区で

 東京大空襲から三月十日で七十六年。十万人の犠牲者の思いをダンサーの鈴木一琥(いっこ)さん(48)=墨田区=がダンスで表す公演「3・10 10万人のことば」が九、十日、浅草の「ギャラリー・エフ」(台東区雷門二)で今年も催される。十七回目となる今回は、新型コロナ感染拡大防止のため各回十人と大幅に入場を制限。その代わりに、YouTubeでの動画配信を初めて実施する。 (井上幸一)
 一琥さん、音声構成のカワチキララさんは、大空襲を生き延びた人々にインタビューを重ねてきた。二〇〇五年の初演以来、その音源を蔵を改装したギャラリーで流し、あの夜に永遠に失われた死者の「言葉」を、肉体で表現してきた。
 蓄積した体験者の声は二十人で、半数ほどは他界しているという。社会状況を踏まえ、公演ごとにこの証言を編集している。コロナ禍の今年、「この一年間、文句を言わず(日本人は)自粛してきた。戦争中は軍人さんの話を聞いた。素直さは変わっていない。それが、何を引き起こすのかな」「正義感が人を時に傷つける。僕自身も含めて」と、一琥さんはパフォーマンスへの思いを語る。
 初の配信動画は、事前収録とした。ライブ配信では蔵の中が暗すぎて、映像では見えないからだ。照明を担う竹本俊治さん(42)は「映る明かりを確保しつつ、闇も感じさせたい」と試行錯誤を重ねた。
 撮影、編集の馬杉真理子さん(49)は、全体用、斜め、真上など複数のカメラ映像を使い、さらに手持ちのカメラも活用。息遣いや服が擦れる音、頭を床に何度もぶつける音などを拾い、「臨場感を強く感じられる映像に」と意気込む。一琥さんも「今まで見たことのない人に、どんな公演か分かってもらえる」と、動画配信を前向きにとらえる。
 公演は両日とも午後六時半から。二千五百円で、要予約。申し込みは、ギャラリー・エフ=電03(3841)0442、メールmail@gallery-ef.com=へ。
 動画は、十日午後八時から三月末まで配信予定。「投げ銭方式」で視聴料金(千円、二千円、三千円、オリジナルサポートTシャツ付きの五千円)を募る。

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