<新型コロナ>緊急宣言の延長表明 憤り、不安が交錯 「先見えない」「補償は」「減る見込みは」

2021年3月5日 07時17分
 首都圏の一都三県で継続中の新型コロナウイルス緊急事態宣言が、七日の期限後も二週間程度、延長される見通しとなった。仕事や生活に制限が続く埼玉県民からは、憤りや不安が入り交じった声が聞かれた。 (杉原雄介、前田朋子、久間木聡、渡部譲、近藤統義)
 「延長に次ぐ延長で先が見えず不安になる」。サッカー浦和レッズのサポーターらが多く訪れる「酒蔵力 浦和本店」(さいたま市浦和区)の今井俊博店長(42)は、再延長に肩を落とす。試合を見ながらの飲食が同店の売りだが、「午後六時開始の試合だと客が盛り上がっている途中で酒の提供ができなくなってしまう」。時短営業でかえって特定の時間帯に客が集中しているとして、「全ての店を一律で午後八時までとすることが、本当に密対策になるのか考えてほしい」と柔軟な対応を求めた。
 埼玉県魚市場(同市北区)で鮮魚の仲卸を営む「むさしの水産」の小菅延幸店長(50)は、再延長に「補償はどうなるのか。飲食店の営業自粛や酒類提供時間も今までと同じなのか。客とはその話ばかり」と戸惑いを隠さない。すし店やかっぽう料理店への販売が減り、売り上げは一、二月とも例年の半分。支給される一時金では市場の家賃や衛生費、水道費を払うと赤字になるという。例年なら歓送迎会など宴会向けの食材需要が伸びる時期で、「飲食店も重要だが、生産者や卸業も支えないと」と憤る。
 浦和駅前で客待ちをしていたタクシー運転手の大野紀男さん(73)は「心の準備はできていた」としながらも、「本来なら三月下旬は歓送迎会などで書き入れ時。延長は厳しい」とこぼす。バスの運行が終わった深夜の稼ぎ時も、最近は「客が全くいない」という。「また十万円を給付するなど、できれば支援がほしい」と切実な思いを語った。
 名勝・岩畳などの観光スポットを抱える長瀞町観光協会事務局長の田島茂行さんは、「致し方ない。安心、安全に観光客を迎え入れるため検討を重ねていく」と話す。ソメイヨシノの開花予想は今月下旬。「桜の季節から大型連休と今後が観光のピーク。悲観的にならず、五月に向けて準備を進める」と強調した。
 深谷市の渋沢栄一記念館を訪れていた秩父市の無職田口好之(よしゆき)さん(70)は「感染者の減り方が足りないのであれば、延長はやむを得ない」と受け止めつつ、再延長で「減る見込みはあるのでしょうか」と疑問も。「これまでのやり方で減らないのなら、対策を強化しなければならないのでは。(飲食店への)協力金も財源が心配」と話した。
 蕨市の女性会社員(48)は一月の宣言発令以降、ボランティアで開く外国人向けの日本語教室を休止している。代わりにオンラインで交流する場を設けてきたが、読み書きを丁寧に教えるには限界がある。「早く教室に通いたいという声がたくさん来ていた。宣言が解除されたら、すぐに再開したかったのに…。本当に二週間で解除されるのか」と残念がった。

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