桂南光、客迎え高座 喜び実感 「古希記念」独演ツアー 創作噺に意欲

2021年3月5日 07時58分

1月、京都・南座で一席披露する桂南光

 今年70歳を迎える上方落語家の桂南光(69)が1月から、古希記念の独演会を各地で開いている。コロナ禍で高座の中止や延期が続いた時期を経ての公演だけに「お客さまの前で実演できる喜び」をかみしめての高座となっている。古典を追究しているベテランは近年、「昔の時代設定で練り上げた創作噺(ばなし)」にも力を注いでいて、3月の東京公演でも一席披露する。 (藤浪繁雄、ライター・神野栄子)
 「来場してくださるお客さまに、ちゃんと面白い舞台にしてお返ししなければいけないと思った」。昨春の緊急事態宣言を経て昨夏、公演ができるようになり、客席と一体となってつくり上げる高座の価値や喜びをあらためて実感した。
 今年一月、再度の緊急事態宣言が発令された中で始まった古希記念の公演。初日の京都・南座では、密を避けるため定員の半分ほどの観客数で上演したが、マスク越しにお客さんから「聴きたい」という空気がひしひし伝わってきたという。「(会場の)まとまりのようなものを感じ、楽しかった。いいスタートを切れた」と振り返る。
 そこでも披露したのが、人情味あふれる創作噺「上州土産百両首」。米の小説家O・ヘンリー(一八六二〜一九一〇年)の短編「二十年後」を原案に、江戸時代の日本に設定を置き換えた。歌舞伎や新国劇、松竹新喜劇でも上演された人気演目(作・川村花菱)を、くまざわあかねが落語に仕立てた。実演のたびに改訂を重ね「お客さまに気持ち良く帰っていただけるようラストも変えた」。三月二十四日、東京・国立小劇場で披露する。
 芸歴五十一年。大師匠の桂米朝、師匠の桂枝雀も未踏破の「新しい噺の世界を展開したい」と語る。名作「火焔太鼓(かえんだいこ)」を上方調の設定にアレンジしたり、希代の乱暴者を描く「らくだ」を性善説で解釈するなど意欲的で、円熟の境地を突き進む。
 古希記念の会は、四月十日の横浜にぎわい座などを経て、六月二十六日の大阪松竹座まで、二十四カ所二十五公演。米朝事務所=(電)06・6365・8281。

関連キーワード

PR情報

伝統芸能の新着

記事一覧