<社説>相次ぐ接待発覚 全省庁対象に調査せよ

2021年3月5日 08時14分
 総務省幹部がNTTからも接待を受けていたことが明らかになった。利害関係者との会食は公務員倫理に明確に反する。氷山の一角ではないのか。官僚接待の有無を全省庁で調査するよう求める。
 総務省幹部の接待漬けはもはや「底無し」と言わざるを得ない。
 週刊文春によると、谷脇康彦総務審議官や総務審議官当時の山田真貴子前内閣広報官らが、澤田純社長らNTTからも高額の会食接待を受けていた。
 谷脇氏は会食への参加を認め、総務省が調査を開始したという。
 谷脇氏は、菅義偉首相の長男・正剛氏が勤める放送事業会社「東北新社」から高額の接待を受け、懲戒処分を受けたばかり。同様の高額接待を受けた山田氏も給与を一部返納の上、体調不良を理由に内閣広報官を辞職している。
 国家公務員倫理法に基づく倫理規程は、利害関係者から金銭・物品の贈与や接待を受けることを禁止している。自己負担する場合でも、一万円を超える見込みの会食は事前の届け出が必要となる。
 報道によると谷脇氏は二〇一八年九月〜二〇年七月に計三回で十七万円超、山田氏と同省の巻口英司国際戦略局長は昨年六月、一人当たり約五万円の接待を受けた。NTTは利害関係者に当たるが、谷脇氏らは届け出ていなかった。
 国家公務員倫理法は、一九九八年に発覚した大蔵省接待汚職事件を受けて制定されたものだ。違法な接待がいまだに横行していることには、驚きを禁じ得ない。
 さらに谷脇氏は一日の衆院予算委で、東北新社以外に利害関係者に該当する事業者からの接待があるか否かを問われ、「業界団体の立食パーティーなどの場で懇談、あるいは勉強会でご一緒するケースはあった」と、同社以外からの違法接待を否定していた。
 報道後に一転認めたが、自らの接待隠しのために国会で虚偽答弁した事実は不問にできない。谷脇氏は菅首相に近く、次期事務次官候補ともされるらしいが、国会で平気でうそをつく人物はもはや有資格者たり得ない。
 霞が関官僚に対する利害関係者の接待はどこまで広がっているのか、接待により公平・公正であるべき行政が歪(ゆが)められたことはないのか。国民の疑念は尽きない。
 この際、全省庁を対象にした接待の実態調査を行い、霞が関にたまった膿(うみ)を出し切るべきではないか。そして公務員は全体の奉仕者であり、一部の奉仕者でないことを、改めて徹底すべきである。

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