「残業代もらえない」「正社員になれない」…非正規差別に悩むあなたにこの「六法」

2021年3月5日 10時19分

飯野たからさん著 「『非正規』六法」

 新型コロナウイルス感染拡大の影響による賃金カットや解雇が後を絶たない。特に深刻なのが派遣社員や契約社員、アルバイトといった非正規社員への差別的待遇だ。そんな人たちが泣き寝入りせず、問題に立ち向かうための法律知識をまとめた「『非正規』六法」(自由国民社)が出版された。著者のフリーライター、飯野たからさん(69)は「非正規社員は雇用の調整弁として会社側に都合よく切られている。知識を持つことが助けになれば」と語る。(北條香子)
 「仕事中の事故で大ケガをしたのに、バイトに労災は使えない?」「居酒屋バイトは客が減ったらクビ?」といった60の事例を、具体的なエピソードとともに紹介。労働基準法などの法律や判例に基づいた解決法を分かりやすく伝える。
 総務省の2020年労働力調査によると、非正規社員は2090万人と雇用者全体(役員を除く)の37・1%を占める。昨年4月には働き方改革関連法により、正社員と非正規社員の不合理な待遇格差を禁止する「同一労働同一賃金」が大企業に適用された。飯野さんは「雇用者の約4割を占めるほど、非正規社員は欠かせない戦力。こうした動きは当然」とみる。

「非正規社員の助けになれば」と話す飯野たからさん

 近年、非正規社員の数は増加の一途をたどっていたが、新型コロナの感染拡大の影響を大きく受けた昨年は75万人減と、前年と比較可能な14年以降で初めて減少に転じた。一方で正社員は、わずかに減少した5月を除けば、全ての月が前年同月比でプラスだった。
 法律関係の実用書などを多く手掛けてきた飯野さんは「残業代がもらえない」「正社員にしてもらえない」といった知人の愚痴を聞くことが多かったという。非正規社員であっても残業代が出ないのは労働基準法違反。通算5年を超えて継続して働いている場合は正社員への転換を求めることができる。「非正規社員は『安く使える』『いつでもクビを切れる』といった安易な経営マインドで劣悪な境遇に置かれ、当人たちもそれを甘んじて受け入れている」と飯野さんは指摘する。

本を手にする飯野たからさん

 「権利があるのを知らずに諦めてしまい、会社から言われるがままなのが一番気の毒」との思いから2019年末、自由国民社に企画を持ち込んだ。新型コロナの感染拡大による雇い止めなどを受け、関連事例を追加するなど一部を修正。昨年12月に発売した。
 巻末には「困ったときの相談先」として、労働基準監督署のホームページ(HP)や労働条件相談ほっとラインの電話番号を載せた。飯野さんは「コロナ禍で仕事や住まいを失って困窮する人も増えているが、1人で悩まず、関係機関に相談してほしい」と説く。
 コロナ休業支援金、給付金の申請期限延長など、発行後の法制度の改正は自由国民社のHPで紹介している。
 横山裕一弁護士監修。インスタグラムで約12万人のフォロワーを持つ漫画家・えりたさんが巻頭漫画を手掛けた。四六判240ページ、1500円(税抜き)。

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