「都合よく切り捨てられた」 ニチイ契約打ち切り 40代女性生活困窮 ホテル転々、所持金1000円に

2021年3月5日 17時55分

ニチイから突然の雇い止めを通知され「ショックだった」と話すフィリピン人女性=東京都内で

 「一生懸命働いてきたのに本当に悔しかった」。国家戦略特区の家事支援事業で来日したフィリピン人女性が、大手医療介護人材派遣会社「ニチイ学館」からの契約更新がなく、一部で所在が把握できなくなっている事態が明らかになった。40代フィリピン人女性は昨年、突然、担当者から契約解除を伝えられた時のショックを涙ながらに語った。

◆「3年、5年と仕事したかった」

 自己都合退職扱いになっているこの女性は、昨年11月、「日本語の試験で合格ラインに達していない」との理由で、契約更新できないとの知らせを受けた。毎月あった試験では、これまで合格しなくても契約打ち切りを打診されたことはなかった。「傷ついた。できるなら3年、5年と仕事したかった」。ニチイから別企業への斡旋もなく帰国を求められたという。
 同じ時期に来た他の8人の仲間も同じ理由で雇い止めになり、失意の中、5人は諦めて帰国した。
 しかし女性は離婚後21年間、女手一つで3人の子を育ててきた。娘2人は結婚し自立したが、息子は大学で学費がかかり、母親の面倒も見ている。
 女性は「国家資格のため3カ月訓練し、1年以上、日本語の面接や料理の訓練を重ね、日本で働く日を待ち望んだ。子の学費や母親を支えるためにも帰るわけにはいかない」と訴える。

◆手持ちは1000円に

 女性は契約解除で、特区制度で認められていた週40時間の労働時間も28時間に、滞在期間も今年5月末までに短縮された。
 福島県いわき市の友人が「仕事あるよ」と呼んでくれたが、就労ビザが使える地域でなかったため東京に戻り、4カ所のハローワークとネットカフェで仕事を探し、カプセルホテルや低額宿泊所を転々とした。気付くと手持ちの現金は1000円に。1月2日の大久保公園(東京都新宿区)での相談会で会った弁護士が、支援団体につなげてくれた。
 現在、支援団体の助けでシェルターで暮らし、ホテルで週何回かのベッドメーキングなどのバイトを続ける。ビザの期限までになんとか家事支援で受け入れてくれる企業を見つけ契約し、ビザを更新したいと願う。
 「日本は町もきれいで食事もおいしくて大好き。だけど、仲間に私のようなシングルマザーも多かった中、今回のようなことは本当に残念。一生懸命働いたが結局、十分な説明もなく、都合よく切り捨てられた」と涙ぐんだ。

◆労働問題に詳しい相模女子大学社会マネジメント学科の奥貫おくぬき妃文ひふみ准教授の話

 国家戦略特区で女性を労働者として呼びながら『需要喚起できなかった』との理由で、契約更新しないのは理不尽。管理・監督する内閣府も入る第三者管理協議会の責任も問われる。今後は協議会との協議を重ね、女性たちに誠実な対応をしてもらいたい。

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