痛み2秒 ニューヨークでワクチン接種した体験談<新型コロナ>

2021年3月5日 18時33分
 新型コロナウイルスで世界最多の死者を抱える米国で、ワクチンの接種が始まり3カ月近くがたった。対象は一部の市民にも広がる。いち早く1回目の接種を済ませた本紙助手(25)の体験から「ワクチン先進国」の現状を追った。(ニューヨーク・杉藤貴浩、写真も)

1回目のワクチン接種を済ませたソーキンさん

◆対応は自治体でばらばら

 先月27日夕、米東部ニューヨーク市中心部。本紙支局勤務のリア・ソーキンさんは十数人の接種の列に並んだ。会場はオフィスビルの1階。昨年12月14日に米国初の接種が始まった同市では、医療従事者や高齢者施設入所者への実施が一巡。一般の高齢者のほか警官や消防士、小売りや飲食業、持病を持つ市民らに対象が広がった。
 ソーキンさんは持病のぜんそくを抱えている。「ただ、ネットでの予約時も接種時も証明は求められなかった。州の会場に行った父は診断書が必要だったけれど」。ニューヨークでは州と市がそれぞれ接種を進めており、自治体によって対応はまちまちのようだ。
 長い待ち時間が悪評だが、ソーキンさんはほぼ予約時間通りにビル内へ。「会場は大きめのコンビニエンスストアくらい」。接種の遅れが懸念される黒人層の多い市内ブロンクス区では、ヤンキースタジアムを使うなど会場はさまざまだ。

米ニューヨークのヤンキースタジアムで3日、ワクチン接種の列に並ぶ人々

◆「インフルエンザより平気」

 ソーキンさんに注射したのは学校常駐の看護師だった女性。「遠隔学習の普及で、仕事のなくなった看護師の多くが接種に携わっている」。他には救急救命士の動員も目立つという。
 注射器は長さ10センチほど。針が上腕に刺さり、痛みを感じたのは2秒ほど。「インフルエンザワクチンよりも平気だった」とソーキンさん。使われたのは日本でも承認申請された米モデルナ社製だった。

ワクチン接種を受けたことを示す米国の記録カード(個人情報を伏せるため一部データにモザイク処理をかけています)

 「注射痕の痛みで夜中に目覚めた」という知人の話におびえていたが、大きな痛みや副反応はなし。2回目の接種を1カ月後に予約して帰宅した。いずれも無料。ソーキンさんは「コロナ禍にはワクチンしか出口がないと思う。開発期間の短さの心配は分かるが、接種を勧めたい」と話した。

◆ワクチン先進国に気の緩み懸念

 米疾病対策センター(CDC)によると、2回目まで接種を済ませた米国民は8.5%。普及の進捗はイスラエルや英国に次ぐとされる。バイデン政権は5月末までに全成人分の供給確保を目指すが、なお不足気味だ。
 米国の感染は1月ごろピークを越したが、今月に入り南部テキサス州などがマスク着用義務の撤廃や商業活動全面再開の方針を示すなど、ワクチン普及による緩みも懸念されている。

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