<あの日から 東日本大震災10年>被災者の証言を映像に 女性芸術家2人が制作 前橋市内で企画展

2021年3月6日 08時03分

東日本大震災の映像や小説を鑑賞できる展示=前橋市で

 映像や音源を中心に国内外の作家による約二十点を展示する企画展「聴く−共鳴する世界」が、前橋市千代田町のアーツ前橋で開かれている。三十代の女性芸術家二人が、東日本大震災の被災者にインタビューして制作した映像作品や小説などを紹介。来館者はスマートフォンでQRコードを読み取って作品を鑑賞したり、無料で借りられるヘッドホンで音声を聴いたりできる。二十一日まで。 (市川勘太郎)
 震災関連では、静岡県出身で東京芸術大大学院修士課程を修了した映像作家の小森はるかさんと、東京都出身で同大大学院の修士課程油画専攻を修了した画家の瀬尾夏美さんが出品。二人は東北沿岸で震災ボランティアをした経験を機にユニットを結成した。
 二〇一二年から三年間に岩手県陸前高田市で暮らしながら制作に当たり、一五年に拠点を仙台市へ移して住民と協働しながら記録をつくる組織「NOOK(のおく)」を設立した。
 企画展には、陸前高田市での集大成として地元住民と作った映像作品「波のした、土のうえ」を出品。震災後に撮影した作品の関係者を二〇年に再訪した映像作品「飛来の眼には」も目を引く。
 被災者が津波対策でかさ上げされて変わった町を歩いたり、地図を見て震災前を思い返したりする様子などを映した。
 瀬尾さんが被災者の証言を基に渡り鳥の目線になって制作した映像作品と同名の小説もあり、一部を壁面で紹介している。
 震災関連以外では、台湾・台北在住の作家ワン・ホンカイさんの作品「ボロム(風)」もある。一九四八年に韓国・済州島であった四・三事件に参加後、日本に亡命した詩人の金時鐘さんの足跡が題材。島内計二十カ所で録音した風などの音源を会場で流し、島を訪れたような感覚になる。
 住友文彦館長は「聴く行為は人間と自然を結び付ける役割があることに関心を持ってもらいたい」と来館を呼び掛けている。
 美術館のホームページから企画展の特設ページにアクセスでき、展示の一部映像や音声を聞ける。開館は午前十時〜午後六時。水曜休館。一般五百円、学生と六十五歳以上三百円、高校生以下は無料。

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