<社説>ミャンマー情勢 国際圧力で暴挙止めよ

2021年3月6日 08時01分
 クーデターで政権を奪い、デモ隊を武力攻撃するミャンマー国軍の行為は著しく正義に反する。残虐な手法に展望はなく、孤立が進むだけだ。暴挙を止めるため、国際社会の結束が強く求められる。
 軍事クーデターから一カ月余。拡大する抗議デモへの発砲は、弾圧であり、一方的な攻撃でもある。これまでの死者は五十人を超え、けが人も多数。機関銃が使用されたとの報道もある。けが人を救護する救急隊員を兵士が殴りつけている映像も流れた。
 クーデター後、裁判所の令状なしでの逮捕が可能になっており、デモ隊ら千数百人が身柄を拘束され、連行された。どのように処遇されているかは不明だ。
 デモは、出勤せずに職場放棄することで抗議の意思を示す「不服従」が合言葉。参加する医療従事者や会社員、公務員らは、指導者アウン・サン・スー・チー氏=拘束中=がインド在住時に傾倒したガンジーの思想を受け継いでいるという。この平和的なデモに対する容赦ない発砲は、到底受け入れられるものではない。
 ミャンマーでは、半世紀の軍政の後、二〇一一年に民政移管し、一六年にスー・チー氏の国民民主連盟(NLD)による本格的な民主化政権が樹立された。圧政から解放され、やっと手に入れた民主的で自由な社会だ。国民には、それを逆戻りさせるわけにはいかないとの思いが強いに違いない。
 会員制交流サイト(SNS)が普及し、情報の発信や共有が可能になったのも背中を押している。
 国軍は「NLDに大敗した昨年の総選挙をやり直し、国軍系を与党にして親軍政権を打ち立てる」というシナリオを描いているようだが、数百万規模の反軍デモが示すように完全な誤算、独り善がりというべきものだ。
 これ以上の犠牲者を出さぬためにも、ミャンマー情勢に関する特別会合を開いた国連安全保障理事会をはじめ国際社会は、ミャンマーに平和をもたらすために、あらゆる方策をとらねばならない。
 「内政不干渉」を原則にしている東南アジア諸国連合(ASEAN)は、外相会議で「ミャンマー情勢への懸念」を表明。重い腰を上げつつある。
 残念ながら、日本の関与は目立っていない。駐ミャンマー日本大使は過日、デモ隊から民政回復を軍に求める要望書を受け取るなど信頼されている。国軍への独自のパイプを持つ今こそ、日本はもっと積極的に動くべきだ。

関連キーワード

PR情報