「命より大事な仕事ない」 電通社員自殺 沼津の母校で高橋さん母講演

2021年3月6日 08時07分

高橋まつりさんの母幸美さんの講演を聞く生徒=いずれも沼津市の加藤学園暁秀高校で

 広告大手電通の新入社員で、長時間労働やパワハラに苦しみ、二〇一五年に自殺した裾野市出身の高橋まつりさん=当時(24)=の母幸美さん(57)=長泉町=の講演が五日、まつりさんの母校加藤学園暁秀高校(沼津市)であった。幸美さんは一、二年生約二百八十人に「命より大事な仕事はない。幸せになるために働こう」と呼び掛けた。 (渡辺陽太郎)
 幸美さんは生徒に「死ぬくらいなら、会社を辞めればよかったと思いませんか」と問い掛けた。まつりさんは東京大学に授業料免除制度があると知り、猛勉強して現役合格。就職活動の履歴書にも「逆境に強い、強靱(きょうじん)なストレス耐性」と長所を記すほど、前向きで努力を欠かさない人だったという。
 幸美さんは「なぜ辞められなかったか。うつ病で正常な判断ができなくなっていた」と説明。一週間で十時間しか眠れない激務や上司の「あなたの残業は無駄」という心無い言葉など、まつりさんが追い込まれた状況を伝えた。
 幸美さんは「娘の幸せを願っていた。頑張った結果が過労自殺なら頑張らなくてよかった。つらかったら休んでいい、手遅れになる前に逃げる勇気を持って」と力を込めた。講演後の取材に「弱いから死を選ぶのでなく、誰でも追い込まれる恐れがあると伝えたかった。生徒が社会に出て悩んだとき、今日の話を思い出してほしい」と話した。
 講演は一六年春に始まり、今回が五回目。新型コロナウイルス対策のため幸美さんは理事長室からリモートで講演、生徒は各教室で聞いた。幸美さんの代理人を務めた川人博弁護士も東京の事務所から参加し、労働基準法などを説明した。

高橋まつりさんの遺影を片手に講演する母親の幸美さん


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