【緊急事態宣言再延長・首相会見詳報】状況見極めに2週間必要、ワクチンと同時に検査拡充

2021年3月6日 10時23分
1都3県の緊急事態宣言延長を決定し、記者会見する菅義偉首相=5日午後9時1分、首相官邸で

1都3県の緊急事態宣言延長を決定し、記者会見する菅義偉首相=5日午後9時1分、首相官邸で

 菅義偉首相の5日の記者会見の詳報は次の通り。
 【冒頭発言】
 新型コロナ対策本部を開催し、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県で緊急事態宣言を2週間延長し、3月21日までにすると決定した。宣言を発出した1月以降、大きな効果が目に見えて表れている。
 宣言の解除については新規感染者数、病床の利用率などを目安とし判断を行うと申し上げてきた。1都3県については、ほとんどの指標が当初目指していた基準を満たしている。
 しかし、病床の使用率が高い地域があるなど、依然厳しさが見られる。感染者は減少傾向だが、そのスピードは鈍化している。人出が増加している地域もあり、リバウンドの懸念も高まっている。2週間は感染拡大を抑え込むと同時に、状況をさらに慎重に見極めるために必要な期間だ。
 こうした点を冷静に、総合的に考慮し、首相として延長を判断した。3月7日までに宣言解除することができなかったことは大変申し訳ない思いであり、心よりおわびを申し上げる。

◆3月末までに3万の施設で検査、花見など控えて

 飲食店の時間短縮、不要不急の外出の自粛やテレワーク、こうした効果的な取り組みを地方自治体と連携し、徹底していく。高齢者施設などにおける感染を早期に発見し、クラスターの発生を防ぐため、3月末までに約3万の施設で検査を行う。市中感染を探知するため、無症状者のモニタリング検査を栃木県で開始しており、大都市でも規模拡大をして実施していく。
 リスクが高いのはマスクを外した会話が多くなる飲食で、そこが対策の中心となることも分かってきた。春は卒業式、入学式、歓送迎会、お花見など人が集まる機会も多くある。そうした機会でも大人数の会食は控えるようお願いする。
 先月、医療関係者へのワクチン接種が始まった。医療の最前線を守るという観点からも、ワクチンが希望の光になる。4月12日から全国の高齢者への接種をスタートし、4月末からは規模を大幅に拡大して、感染対策の切り札として希望する国民に1日も早くお届けしたい。副反応に関する情報を含め、分かりやすい情報発信を行うとともに、自治体と連携をして準備を進めていく。

◆変異株は新方式の検査で監視強化、孤立や就業を支援

 変異株については地域的な広がりは確認されていないものの、昨年末以来、19都府県で確認され、引き続き十分な警戒が必要だ。今月から変異株が短時間で検出できる新たな方法の検査を全ての都道府県で実施し、監視体制を強化する。
 昨年以来、女性の自殺者が増えていることに心を痛めており、対策が急務だ。女性の非正規やひとり親の方々をはじめ、就業に困難を抱えている方々について訓練の機会を大幅に広げ、就業支援を行う。
 外出自粛が続く中で、望まない孤独や孤立で不安を抱えている方々がたくさんいる。子どもの見守りや、自殺防止の相談を行う団体にも積極的に支援をしていきたい。今月中に関係閣僚による会議を開催し、緊急の支援策を取りまとめる。
 首相の私のなすべきことは、これまでの成果を確実なものにし、リバウンドを阻止し、宣言を解除できるようにすることだ。皆さんの命と暮らしを守るために、安心とにぎわいのある生活を取り戻すために一層の協力をお願いする。
 【質疑応答】
 記者(朝日新聞)宣言再延長の原因は。人出を抑えるためのメッセージは十分だったか。2週間で宣言を解除し、リバウンドも防ぐ科学的根拠は。
 首相 ステージ3の目標は首都圏でもほぼ満たしている。ただ、病床の状況など一部の指標でぎりぎりのところがある。そうした中で慎重に見極める必要がある。私の発信については、ぶらさがり会見の中で訴えてきた。結果は国民のみなさん(の評価)だ。今回はテレビコマーシャルや会員制交流サイト(SNS)を通じて、若者をはじめ幅広い層に徹底をお願いしたい。次に感染者が多くなっても病床確保できる態勢を2週間でつくりたい。

◆指標すべて50%以下に、GoTo再開は当面厳しい

 記者(テレビ朝日) どうなれば緊急事態宣言を解除できるのか。さらなる病床対策は考えないか。
 首相 病床(使用率)は東京都でステージ3(の目安の50%)はクリアしているが、ぎりぎりのところも、逼迫ひっぱくしているところもある。全部50%以下にする努力をしっかり行う。一定以上に余裕のある数字になるまで落としていきたい。
 記者(読売新聞) 観光支援事業「Go To トラベル」再開時期の見通しは。
 首相 当面の再開は難しい。各地の感染状況を踏まえて専門家の意見を聞いて判断したい。
 記者(共同通信) 東京五輪・パラリンピックで海外客の受け入れは可能か。
 首相 判断はこれからだから、申し上げるのは控える。国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長とも、いわゆる5者会談で3月中に判断することで合意を得ている。IOCなどで変異株の影響や国内外の感染状況を踏まえて検討していく。5者会談で丸川珠代五輪相が入国の可否を見通すことは困難で、慎重な判断が必要だと発言したことは承知している。
◆感染対策は「マスク、手洗い、3密対策、基本的なことをしっかり」
 記者(フリーランス・江川紹子氏) 安倍政権で官邸が官僚を支配する仕組みを作った。反省や見直しが必要なところは。第三者を入れて検討する考えは。
 首相 若手官僚が途中で退職するのは残念だが、労働力の流動化は大事だ。第三者委員会についてはまだ様子を見たい。
 記者(日経新聞) 五輪開催のために、21日以降は新型コロナをどう抑え込むか。
 首相 五輪と関係なく、一日も早くコロナを収束させる。
 記者(西日本新聞) 緊急事態宣言解除のため、国民の行動変容を促す新たな対策を打ち出す考えは。
 首相 マスク、手洗い、3密(対策)の基本的なことをしっかりやることで感染者数(拡大)を防止し、病床使用率を改善していきたい。
 記者(ニコニコ動画) 自治体や政府のコロナ対策の取り組みを分析し、リアルタイムで国民に報告する仕組みが必要では。日本学術会議に諮問しては。
 首相 コロナ対策分科会や専門家会議がある。今後、こうした会議で対策を横展開するなどしたい。

◆総務省問題は事実確認を 消費税引き下げは考えていない

 記者(産経新聞) 新型コロナ特措法などが改正されたが、国と地方の権限の見直しはなかった。国の権限を強化する形で制度を見直す考えはあるか。
 首相 現状のコロナ対策は、国が基本的対処方針を決め、その枠組みで都道府県が対策を講じるなどと定められている。適切な役割分担をしながら(対策を)進めているが、収束した段階で必要な検証はしっかり行っていく。
 記者(時事通信) NTTから接待を受けた総務省の谷脇康彦総務審議官を今のポストのまま仕事を続けさせる予定か。武田良太総務相の責任は。
 首相 (NTTの問題は)現在、調査中なので答えを控えたい。総務相は事実関係の確認を徹底し、ルールにのっとって対応してほしい。
 記者(ビデオニュース・神保哲生氏) 放送事業者による官僚への接待は大問題だが、総務省が放送事業者に対して強い権限を持っている現実がある。強い権限を総務省に与え続ける理由は。
 首相 情報通信分野は技術革新や国際競争が激しく国家戦略的な対応が求められ、大臣が責任を持って執行する制度になっている。放送と通信の境がなくなってきているのも事実で、もう少し検討する必要がある。
 記者(テレビ東京) コロナの追加経済対策として、困窮世帯に限定して個人向け給付金を再支給する考えは。消費税減税は。
 首相 コロナで影響を受けている方の事業や雇用を支えるための支援を行っていく。消費税は幼児教育無償化などの社会保障の財源になっているので引き下げは考えていない。 

◆高齢者施設で集中的に検査拡充、大都市の繁華街でも実施へ

 記者(TBS) 21日以降、特措法に基づく「まん延防止等重点措置」の適用を検討するか。
 首相 2週間後にすぐということではなく、臨機応変に対応できる仕組みだ。具体的な適用の有無を申し上げることは控えたい。
 記者(京都新聞) 病床使用率の修正は東京都だけではなく、京都府と神奈川県でもあった。基準を明確にする考えはあるか。
 首相 本来、都道府県の病床の状況は全国統一の基準で見るべきもの。東京は都独自の基準だったから、国の基準に基づき報告するようお願いしてきた。国の基準で行っていないところは、国の基準に合わせてほしいと指導している。
 記者(フリーランス・岩上安身氏) ワクチンには感染予防効果はなく、無症状者を増やさないためにはPCR検査を大量に行う必要がある。全量検査は必要ないと言った首相の認識は変わらないか。
 首相 ワクチンと同時に検査の充実も必要だ。高齢者施設で集中的に行い、大都市の繁華街でも実施したい。

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