「旭いいおか文芸賞」 大賞に岩井さん、準大賞に平山さん 震災10年「一区切り」の5回目

2021年3月8日 07時03分

自作の詩を朗読し、準大賞を受賞した平山七波さん=旭市で

 東日本大震災からの復興を願い、海をテーマにした自作の文章を自らの朗読で発表する「旭いいおか文芸賞『海へ』」の第五回本審査会が、旭市の県東総文化会館で開かれ、大賞に市内の元小学校教諭岩井とし子さん(88)が選ばれた。
 二月十四日にあった本審査会では、入選者二十八組のうち地元の十二組が舞台で朗読した。応募総数は千二百十一点で、新型コロナの影響で五百点ほど減ったという。
 岩井さんは、昭和二十年代に勤務した地元の小学校の教え子M君との思い出をエッセーにした。海難を亡霊の仕業だとする「もうれんサッサ」という飯岡地区の浜言葉を導入文にして、後に近くの海で亡くなったM君の亡霊に会いたい気持ちを切々と表現した。
 また、準大賞には市立第二中学校三年の平山七波(なのは)さんが選ばれた。地元の海にちなんだ自身の名前の由来を詩につづり、海からのエネルギーを力にして「これから私は大きな人になるのだ」と胸を張った。
 入選作品二十八点と佳作五十点などは、飯岡刑部岬展望館二階で十四日まで展示している。月曜休館。
 文芸賞は震災を語り継ぐことを目的に、飯岡地区の元教員らのグループが創設。飯岡出身の詩人の高橋順子さん(76)が、震災後にふるさとへの思いをつづり、第十回三好達治賞を受賞した詩集のタイトルを賞の名称に使うことを提案し、審査委員長としても協力してきた。
 次回以降は、コロナ禍の影響に加え、運営メンバーの高齢化、旭市の補助金打ち切りで資金難が見込まれるなど、存続が危ぶまれている。実行委の渡辺昌子会長(74)は「震災十年と文芸賞創設五年を一区切りとして、次は若い人たちが立ち上がって引き継いでもらえることを期待している」と話した。 (小沢伸介)
<高橋順子さんの話> 私が生まれ育った飯岡の人たちが、文芸賞を通じて精神的に活性化し、驚くと同時に誇らしい気分です。最初のころの作品は、海に対する怖さと好きな気持ちで引き裂かれているというような詩が結構あった。海と人との関係では、この二つの側面を若い人たちも意識している。コロナ禍でイベントは軒並み中止になっているが、この催しには切実なところがある。人々の命のために続けてほしいと思います。

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