再生エネルギー発電、日本が伸び悩む理由は?

2021年3月9日 06時00分
 再生可能エネルギーによる発電の比率は、2020年には欧州の国々や米カリフォルニア州などで40%を超えた。原動力となったのは主に風力と太陽光だ。中でも英国はこの10年間で洋上風力を大量導入し、10年に3%だった風力の比率を20年には24%に伸ばした。一方で日本の再生エネ発電は伸び悩む。なぜか。(妹尾聡太)
 日本では12年、再生エネでつくられた電気を比較的高く売ることができる固定価格買い取り制度(FIT)がスタートし、主に太陽光が拡大した。10年に0・5%未満だった太陽光の比率は20年(1~11月)には9%に伸びた。
 一方の風力は20年(同)の発電比率は1%弱にとどまる。理由として、再生エネ事業者の送電線利用を大手電力会社が制限したことなどが指摘される。生態系や生活への影響を調べる環境影響評価(アセスメント)に要因を求める声もある。アセスの調査基準が風力以外の発電施設より厳しく、開発が滞ったなどの主張だ。
 太陽光は、施設建設時の森林伐採などが環境を破壊すると一部で批判されている。ただ耕作放棄地の活用や農業と発電を同時に行うことで、発電をさらに増やせるとの指摘もある。
 これらを踏まえて政府は、農地利用や風力の環境アセスのあり方など、発電をしやすくするための制度について検討している。今国会に提出した地球温暖化対策推進法改正案には、環境アセスを数カ月短縮できる特例を盛り込んだ。

◆既得権益守る日本 世界と差

山家公雄エネルギー戦略研究所長(京都大特任教授)の話

山家公雄・エネルギー戦略研究所長

 風力発電は日本では増えていない。風力は発電コストが安く夜間も動き、原発や石炭火力と競合する。急に導入されると大手電力の経営が揺らぐ恐れがあったからだと考えられる。
 しかし原発の多くは再稼働せず、二酸化炭素(CO2)を多く排出する石炭火力も、減らさざるを得ない。既得権益を守りつつ導入を図る日本の再生エネ政策により、世界との格差は拡大した。日中に発電する太陽光と夜間も発電する風力をセットで導入すべきだ。
 ドイツなど欧州各国は政策として再生エネ産業を育てることで環境問題にも対応。中国も国内に巨大な再生エネ市場をつくり上げた。日本が再生エネ産業を立て直すにしても国内の風車メーカーは軒並み撤退しゼロからの出発になる。ただ大規模な洋上風力には期待が持て住宅の太陽光発電は増え続ける。今が復活の最後のチャンスだ。(談)

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