【独自】「退職後の支援すべて放棄」 ニチイがフィリピン女性107人に「確認書」書かせる
2021年3月9日 06時00分
国家戦略特区での家事代行業に就くために来日したフィリピン人女性が、雇用主の「ニチイ学館」(東京)から契約更新されず、48人が所在が把握できなくなっている問題で、雇い止めや自己都合退社をするフィリピン人107人に対し「退職後は、ニチイからの支援はすべて必要なく、放棄する」などと書かれた「確認書」にサインをさせるなどしていたことが、関係者への取材でわかった。(望月衣塑子)
高齢者の介護や家の掃除など家事支援の仕事をする目的での外国人の入国は原則認められていないが、東京など特区に定められた1市5都府県では、国家資格取得など一定の条件を満たせば在留資格を認めている。
ニチイは、事業を管理する内閣府や自治体などからなる第三者管理協議会から稼働率の低さを指摘されたことなどから、21年3月末時点で206人と契約更新しなかった。国の指針で本人が在留を希望する場合、雇用主は新たな受け入れ先の確保に努めるという規定があるが、別の職場への紹介をしていなかった。
関係者やニチイによると、ニチイ側は、日本での在留を希望した107人に対し「退職後は、ニチイからの支援はすべて必要なく、放棄する」などと国内のあっせん業者が事前に用意した「確認書」にサインさせたり、自由回答で「今後ニチイの支援を受けません」との趣旨の確認書を書かせたりしたという。うち14人は、2種類の確認書にサインしていた。
女性たちは「契約が解除になると聞き、次の仕事を見つけようと退職届を出した。その際、ニチイ側のスタッフから書類へのサインを求められた。会社は雇用主の責任を取らないで済むよう、このような『権利放棄書』にサインさせたのでは」と話す。
◆ニチイ「個別相談応じている」
ニチイは「『権利放棄書』として捉えられている可能性があると推察するが、確認書はあくまで双方の意志・認識の確認を行った。確認書の提出後も個別相談に応じ、帰国手配を含めた支援をしている」とコメントした。
内閣府地方創生推進事務局は「辞める人に確認書を取るよう指導はしていない。今後、双方から話を聞き調査する」とした。
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