無症状者へのPCR検査拡充へ 政府が軌道修正、効果は未知数

2021年3月9日 06時00分
 首都圏1都3県の新型コロナウイルス緊急事態宣言は8日、2週間の再延長期間に入った。リバウンド(感染再拡大)防止を重視し、政府が新たな対策として打ち出したのが、無症状者を対象としたPCR検査などによる「モニタリング検査」の拡大など。これまで拡大に慎重だったが、宣言の長期化を受けて軌道修正した。ただ、モニタリング検査は1日1万件を目指すものの、大都市の人口規模に対する実効性は未知数。拡充の時期も遅きに失したとの指摘がある。(村上一樹、清水俊介)

◆解除7府県で始まる

 菅義偉首相は宣言の再延長を受けた5日の記者会見で「市中感染を探知するため、無症状者のモニタリング検査を今後、大都市でも規模を拡大して実施する」と表明した。
 モニタリング検査は、政府が自治体と協力して手掛ける。宣言が解除された地域の繁華街や事業所、大学などで無症状の人を対象に、無料でPCR検査などを実施。感染拡大の予兆をつかむのが目的だ。
 緊急事態宣言が解除された栃木県では、既に2月下旬に開始。続いて解除された岐阜、愛知、大阪など6府県でも始まった。愛知県では6日、名古屋市の繁華街で、唾液のPCR検査キットが通行人に配られた。
 加藤勝信官房長官は8日の記者会見で、1都3県の実施について「早期開始を目指し、検査場所の選定など自治体や事業者と連携して準備が進められる」と語った。

◆「今ごろ」と批判も

 ただ、1日1万人の目標は、全国での規模。例えば人口約1400万人の東京都なら、都内のどこで何人を対象に実施するのか。本当に予兆を的確に把握できるのかは疑問符が付く。
 広島県は1月、広島市中心部で数十万人規模の一斉検査を行う独自の計画を発表したが、政府は規模をさらに拡充することには慎重だ。首相は2月、広島県の計画の評価を問う内閣記者会の書面質問に「かなりのコストと医療資源が必要」などと回答した。
 8日の参院予算委員会で、立憲民主党の木戸口英司氏は政府の検査方針について「その内容で十分なのか」と疑問を投げかけ「こうした問題は昨年の第一波、二波のころからずっと言われてきたこと。『今ごろか』という感じもする」と批判した。

◆他にも「リバウンド」防止策

 首相は、他のリバウンド防止策として高齢者施設などでの検査拡充を挙げ「3月末までに約3万施設で行う」と説明。変異したウイルス対策も掲げ「今月から変異株が短時間で検出できる新たな方法の検査を全都道府県で実施し、監視体制を強化する」と強調した。
 政府の新型コロナ分科会の尾身茂会長は5日、1都3県に対し、首相の説明を含む7項目のリバウンド防止策を発表。2月に施行されたコロナ対応の改正特別措置法で新設され、宣言の前後に地域を絞って営業時間の短縮要請・命令を含む重点対策が可能になる「まん延防止等重点措置」の活用を訴えた。
 尾身氏は「首都圏は多くの歓楽街や多様なコミュニティーが存在し、人々の匿名性もある。リバウンドが起こりやすい」と指摘。「何とか防ぐための体制強化に、この2週間を使ってほしい」と呼びかけた。

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