東北新社の虚偽報告決裁 接待受けた総務省官僚、山田真貴子氏ら関与

2021年3月12日 20時54分
 菅義偉首相の長男正剛氏が勤める放送事業会社「東北新社」側の外資規制違反問題は、衛星放送事業の認定取り消しに発展した。高額接待を受けた山田真貴子・前内閣広報官ら複数の総務省幹部が、認定の決裁に関わっていたことも判明。不自然な形で手続きが進んだ背景に官僚の「忖度」があったという見方は、与野党に広がる。

◆閣僚経験者「こんなことは絶対に起こらない」

 東北新社は2016年10月に行った衛星放送事業の申請で、外資比率が規制上限の20%未満だと虚偽報告し、総務省の認定を取り付けた。さらに、違反状態のまま新設子会社の東北新社メディアサービスへの事業承継を申請し、17年10月に認定を受けた。この際の最終決裁をしたのが、安倍晋三前首相の秘書官などを務めた後、情報流通行政局長に就いた山田氏だった。この決裁には、接待問題で懲戒処分になった他の複数の幹部も関与した。
 東北新社の外資比率は最初の申請段階で20%を超えていたが、総務省が正確な比率を詳しく確認した形跡はない。その後の事業承継も同様だ。武田良太総務相は12日の記者会見で「チェック、審査が十分でなかった」と釈明したが、与野党とも額面通り受け止めてはいない。
 自民党の世耕弘成参院幹事長は「見落とすはずがない」と首をかしげた。別の閣僚経験者は「裏に何かないと、こんなことは絶対に起こらない」と指摘する。

◆総務省は違法を知っていた?

 野党は、正剛氏の存在により行政がゆがめられた疑惑を追及する。総務省幹部が東北新社の違法申請を知りながら、目をつぶっていたという見立てだ。
 それを推察させる事実も12日の参院予算委員会で判明した。総務省の吉田博史情報流通行政局長は、東北新社が「17年8月に外資規制に抵触する可能性があると認識し、総務省の担当者に口頭で伝えた記憶がある」と説明したことを明らかにした。一方、同省の担当者は「報告を受けた覚えはない」と話していることも補足した。
 武田氏は「言った、言わないの話になっている」として、近く始める第三者の検証に委ねる意向を示した。(山口哲人)

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