コロナワクチン優先接種 在宅介護スタッフは「感染者介護するなら」の条件付き 現場に戸惑いや不満

2021年3月13日 20時26分
訪問介護で男性の世話をする東京ケアのホームヘルパー(右)。密着する場面が多く、感染の不安を抱えて働いている=東京都江戸川区で

訪問介護で男性の世話をする東京ケアのホームヘルパー(右)。密着する場面が多く、感染の不安を抱えて働いている=東京都江戸川区で

 新型コロナウイルスワクチンの優先接種対象に、訪問介護やデイサービスなどを担う介護従事者が加えられた。ただ、自宅療養中のコロナ感染者を介護する意思がある場合などの条件が付いている。関係者からは「接種後も感染の可能性はある。なぜ感染リスクを背負わされるのか。そうまでして打ちたくない」と戸惑いの声が上がる。(曽田晋太郎)

◆厚労省が見直したけれど…

 介護関係のワクチン優先接種を巡り、政府は当初、入居者らのクラスター(感染者集団)が発生しやすい高齢者福祉施設の従事者らに限定した。対象から外された在宅サービスの従事者から「感染リスクは非常に高いのに」などの不満が出て、労働組合などが厚生労働省に再考を求めた。
 これに加え、感染者が急増した昨年末から1月にかけて入院できずに自宅療養する要介護者が出たことなどから、厚労省が方針転換。今月3日、在宅サービスの従事者も優先接種できると自治体に通知した。
 だが、条件が付いた。まず市区町村が在宅サービス従事者を優先接種に含めるかどうかを決める。その上で、感染者や濃厚接触者を介護する意思を示した人に限るとした。厚労省認知症施策・地域介護推進課の担当者は「全員に打ちたいが、ワクチンには限りがあり、優先順位を付けざるを得ない」と話す。

◆「なぜ、介護従事者の間で差をつけるのか」

 これに対し、厚労省に要望書を提出した労働組合「日本介護クラフトユニオン」の担当者は「条件が付くなら、優先接種を希望する人は少ないだろう」と話す。「なぜ、介護従事者の間で差をつけるのか。サービスを利用する高齢者もワクチンを接種した人に介護してほしいと思っている。条件を取り除いてほしい」と求める。
 訪問介護事業所「東京ケア」(東京都江戸川区)の滝口恭子所長(47)も「在宅の従事者だけが感染リスクを負うのはおかしい。優先接種の時期も高齢者の後で、一般の人とそれほど変わらない。今ただちに接種できるならまだしも」と不満だ。
 東京ケアに所属するヘルパーは20人で、ほとんどは50歳以上。高齢者と同居している事情などから、優先接種で感染リスクを負うなら「打ちたくない」と言う人が多い。滝口さんは「事業所として、感染者の自宅に行くことを強制できない」と話し、自身も「すごく迷っている」と話す。
 ただ、東京ケアが優先対象になるかは、事業所のある江戸川区の判断次第。区の担当者は取材に「現在、検討中」と答えた。感染者の在宅介護をする意向があるか、事業所に尋ねた上で判断するようだ。

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