中国への警戒あらわ、バイデン政権の初外遊で2閣僚異例そろい踏み 発足2カ月弱で「2プラス2」

2021年3月14日 06時00分
 バイデン米政権のブリンケン国務長官とオースティン国防長官は15日から訪日し、日米の外務、防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)に臨む。政権発足後初の外国訪問で、米外務、防衛の両閣僚がそろって日本を訪れるのは異例だ。経済、軍事両面で急速に台頭し影響力を強めている中国への対抗が最大の課題で、米国の危機感の表れともいえる。(ワシントン・金杉貴雄)

◆米国の本気度、同盟国と中国に示す

 「2つの最も重要な同盟国をオースティン氏とともに訪問し、その帰路にアラスカで中国の楊潔箎ようけつち・共産党政治局員らと会う。米国と同盟国の安全、繁栄、価値観に挑戦する中国の行動に懸念を示し、反対する」
 ブリンケン氏は10日の米下院公聴会で、日本、韓国歴訪とその後に初の米中外相会談を行う予定を説明し、一連の日程を貫く最も大きなテーマが「中国」であることを示した。
 通例だと、米国の新政権発足から初の日米2プラス2までは調整を必要とし、ブッシュ(子)、オバマ両政権では初開催まで2年前後かかった。トランプ政権では7カ月後だったが、今回はわずか2カ月弱だ。
 プリンストン大のアーロン・フリードバーグ教授は「アジア地域に対する米国の本気度を同盟国と中国の双方に伝える意図がある」とその狙いを分析する。

◆トランプ外交から転換

 ブリンケン氏は「人権と民主主義を外交の中心に戻す」と宣言。中国に対し、香港や新疆ウイグル自治区での人権侵害、台湾や南・東シナ海の周辺国への圧迫、不公正な経済慣行などを非難し、厳しい姿勢で臨む考えだ。
 トロント大のフィリップ・リップスキ准教授は「バイデン政権はトランプ政権より中国に甘いという懸念があったが、今回の訪日は同盟国を支援し中国と対峙たいじすることもいとわないとのメッセージだ」と指摘。単独の「ディール外交」を展開した前政権の方針を転換し「同盟国と協力し中国の台頭に対応する考えを示している」と評する。
 ただ米国の同盟重視が、人権や国際法を軽視する中国の行動を見直させることにつながるかは見通せない。
 日米共通の懸念の1つが、中国が海警局に武器使用を認めた海警法の施行だ。沖縄県・尖閣諸島周辺での緊張の高まりを受け、米国防総省のカービー報道官は2月の記者会見で、中国公船の活動停止を要求した。
 会見ではカービー氏が「尖閣諸島の日本の主権を支持する」とも明言し、後日訂正する混乱もあった。日本の施政権を認め日米安保条約の適用対象とする一方、主権問題は特定の立場を取らない米国の政策を再確認する形となり、強硬姿勢を強める中国へのけん制にはかえってつながらない結果となった。
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◆「同盟重視」日本政府は歓迎 負担増への警戒感も

 日本政府は、バイデン米政権の姿勢を歓迎する半面、さらなる負担増につながることへの警戒感も強めている。
 茂木敏充外相は12日の記者会見で、2プラス2開催について「米国が日米同盟を重視している表れで歓迎したい」と強調。菅義偉首相は同日の政府与党連絡会議で、4月上旬に訪米する意向を表明し「バイデン氏が直接会談をする最初の外国首脳として迎えていただく」とアピールした。
 ブリンケン、オースティン両氏が、対面で外国の担当閣僚と会談するのも初めて。コロナ禍で進む日米の連携に、外務省幹部は「大きなメッセージになっている」と抑止力の強化に期待感を隠さない。
 ただ、米国が東アジアへの関与を強めるほど、日本に対する貢献の要求も高まるのは必至だ。
 バイデン政権は先に発表した暫定版の安全保障戦略指針で、同盟強化を通じ中国に対抗する方針を明記。2プラス2で具体的な内容が示される可能性が高い。
 防衛省幹部は、在日米軍駐留経費(思いやり予算)の負担増や、国内での低空飛行訓練など米軍の演習拡大を求められると予測。「米国はタダで日本を守ってくれるわけではない。高い請求書が来るだろう」と話した。(上野実輝彦)

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