医療従事者のワクチン優先接種対象者、なぜ100万人増? 厚労省「細かい積算ない」

2021年3月15日 19時38分
 新型コロナウイルスに対応する医療従事者らへのワクチン優先接種が今月に入って本格化する中、対象者は想定した約370万人から約480万人に増える見込みだ。当初の人数は統計に基づく推計値だったため、実数と大幅な誤差が生じた。医療従事者らの後に優先接種を行う高齢者施設などの従業員や基礎疾患のある人の数値も同様の推計値を使っており、対象者数は膨らむ可能性がある。
 河野太郎行政改革担当相は、100万人程度増える見通しを示していた医療従事者数が約480万人になると説明。安全性を調べるための先行接種は2月中旬から全国100病院の4万人を対象に開始され、今月3日から一般の医療従事者向け接種も始まった。
 厚生労働省は、自治体に通知した「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き」という文書に沿って「医療従事者等」の人数を約370万人と見積もった。手引きでは算定基準を「総人口×3%」と記載。同省予防接種室によると、3%は国の「医療施設静態調査」など医師や薬剤師といった職種別の数が分かる統計を基に算出した。
 予防接種室の担当者は「あくまで推計値で精緻に積み上げた数字ではなく、前後する可能性はある」と説明。増加が見込まれる約100万人という数値も「変わる可能性はある」という。
 手引きの「医療従事者等」の範囲には、医師や薬剤師、看護師に加え、実習中の医学部生や救急隊員、消防団員など、幅広く含めることができるとしている。対象の範囲をどこまで広げるかの判断は、各自治体や医療機関に委ねられており、確定的な人数を把握するのが困難な状態だ。
 医療従事者以外の優先接種者数も、政府は同様の推計値を利用している。基礎疾患のある約820万人は患者調査や国民生活基礎調査などの統計から20~64歳の入院者や外来患者、肥満の人を推計。高齢者施設などの従業者約200万人も各種調査からの推計値で、厚労省の担当者は実際の人数について「推計値通りにはいかない」と指摘している。(坂田奈央)

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