コロナ長期化 増す孤独感 29都府県で自殺者増

2021年3月16日 07時19分
 二〇二〇年の自殺者数が二万九百十九人(警察庁まとめ、速報値)と十一年ぶりに前年を上回った。長引くコロナ禍で孤独感や不安感が増していることが背景にあるとして、国も対策に乗り出した。都道府県も対策に知恵を絞っている。 (藤英樹)
 厚生労働省が作成した昨年の都道府県別自殺者数の前年比増減率を見ると、増加したのは二十九都府県。増加率トップは富山の16・7%で、神奈川が15・7%の二位。首都圏ではこのほか、埼玉(6・4%)、東京(6・2%)、千葉(4・7%)、茨城(4・6%)が全国平均の3・7%を超えた=表参照。
 「県内の自殺者は二〇一一年をピークに減ってきていて、一九年が底だった。このため昨年の増加率が目立った」と神奈川県の小泉遵子・精神保健医療担当課長は釈明する。その上で「新型コロナ感染症への不安や経済的ダメージなどで、今までと違った生活を強いられる人が増えている。しっかり対策を取らなければいけない」と話す。
 一九年の同県内の自殺者は千七十六人で男女比は七対三だった。二〇年(千二百四十五人)の細かい分析はこれからとしながらも、小泉課長は「女性や若年層の自殺が増えているのではないか」と指摘する。
 このため従来の電話相談では十分にとらえられなかった若年層が相談しやすい会員制交流サイト(SNS)で対応する「いのちほっとライン@かながわ」や、ストレスチェックアプリ「こころナビかながわ」、悩みを抱える人を周囲が見守る「ゲートキーパー」研修などに力を入れる。
 「通年で相談窓口を拡大し民間団体などとも連携しながら、自殺防止につなげたい」

◆日赤、学校などで説明会 不安に気づき差別なくそう

新型コロナウイルスによる負の連鎖をなくそうと開かれた説明会=昨年6月、神奈川県大和市の中学校で(日本赤十字社神奈川県支部提供)

 最前線で新型コロナ感染症に立ち向かう医療従事者も不安や差別に直面している。それを解消しようと日本赤十字社が作製した冊子が「新型コロナウイルスの三つの顔を知ろう!〜負のスパイラルを断ち切るために〜」だ。
 負のスパイラル(連鎖)とは「コロナ感染による病気そのもの」「感染症が生む不安や恐れ」「不安や恐れが生む周囲への偏見や差別」を指す。連鎖を断ち切るためには「気づく力」「聴く力」などが大切と訴えている。
 神奈川県内では赤十字病院内だけでなく、学校や幼稚園、企業や自治体などにも配布され、説明会が行われている。この取り組みをさらに広げるため県が支援を強化する。

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