AYAがん 理解と支援を 初の全国イベントを開催 

2021年3月16日 07時40分

闘病体験をもとにオンラインシンポでAYA世代がんへの理解を呼び掛ける岸田徹さん

 十五〜三十九歳の「AYA世代」と呼ばれる若い年代のがんについて知ってもらおうと、初めての全国イベント「AYA week(ウイーク) 2021」が十四日始まった。「AYAがんの医療と支援のあり方研究会」の学術集会に合わせた催しだ。各地の病院や患者団体、企業など七十四団体が参加。オンラインを中心に二十一日まで、経験者交流会やセミナー、写真展といったイベントが予定されている。 (編集委員・安藤明夫)
 AYAとは、英語で思春期・若年成人を意味する「Adolescent(アドレセント) and(アンド) Young(ヤング) Adult(アダルト)」の頭文字。国立がん研究センターによると、日本では年間百万人ががんを発症するが、AYA世代はそのうち約二万人だ。
 五日に長崎大病院で先行開催されたシンポジウム。同ウイーク実行委員長で、NPO法人がんノート代表理事の岸田徹さん(33)が、自らの闘病経験をもとにAYA世代のがんに必要な支援について語った。
 岸田さんが発症したのは東京のIT企業で働いていた二十五歳の時だ。首が腫れ、希少がんの「胎児性がん」という診断が付くまでには半年もの時間がかかった。首の腫瘍は全身に広がり、五年生存率は「五分五分」と言われた。
 手術を経て職場復帰したが「大変だったのは、むしろ退院後」と振り返る。十八歳未満なら小児慢性特定疾病の対象となり医療費助成の制度がある。四十歳以上であれば介護保険があるが、それも使えない。「お金や仕事、後遺症の問題と向き合うことになった」。AYA世代の多くは公的支援が受けにくいのだ。
 通院のたびに欠勤扱いになるなどして収入が激減。体調も崩し、退職に追い込まれた。一時は預金の残高が千円を切った。二十七歳で、今度は精巣がんが見つかり、再び手術。性機能に障害が残ったという。
 岸田さんとともに同ウイークの実行委員長を務める国立病院機構名古屋医療センター小児科の堀部敬三さん(67)は、AYA世代がんの特徴を「多様性と希少性」と説明する。
 小児に多いがん、成人に多いがんの両方がみられることが多様性の理由。思春期は、小児期と同様に白血病、骨軟部腫瘍、リンパ腫などの発症が多い。二十代になると甲状腺がん、子宮頸(けい)がんなどが加わり、三十代は乳がんや子宮頸がんといった成人がんが中心となる。一方、岸田さんのように患者数が少ない希少がんの患者も多く、診断に手間取ったり、専門治療を受けにくいなどの問題がある。
 もう一つ大きい問題が、子どもをつくれる可能性をどう残すかだ。抗がん剤の投与や放射線照射を受けると、卵巣や精巣などに影響が出やすい。患者団体などの要望を受け、四月以降、治療前に卵子や精子などを凍結保存する費用の半額程度を助成する制度が、ようやく始まる。
 堀部さんは「闘病の時期が進学や就職、結婚、出産など人生の節目に重なるAYA世代のがんは、支援のニーズもさまざま」と説明する。「患者さんが生きやすい社会にするため、自分ができることを考えてほしい」

◆オンライン参加可能なイベント

 オンラインで参加できる主なイベントは次の通り。同ウイークのホームページから、それぞれの参加手続きに沿って申し込む。
 ◇「AYA世代のがんについて知ろう、一緒に。」 16日後6・30〜8・30
 ◇「AYA世代がん診療の最新トピックス!」 19日まで動画配信
 ◇「子宮頸がんとHPVワクチンを考える」 19日後2〜4
 ◇「もっと知ってほしいAYA世代のがんとセクシュアリティのこと」 19日後6・30〜8
 ◇「AYA世代がん経験者と同世代の医療従事者・学生の対話カフェ2021」 19日後7〜9
 ◇「聞いてちょうだい!経験者トーク」 20日まで毎日後8〜8・30
 ◇「AYA世代*がんフォト・パレード」 21日まで毎日更新
 ◇「がんと向き合うママと家族の『共に生きる』笑顔の絆WEB写真展」 21日まで

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