<社説>NTT接待問題 疑惑の払拭には程遠い

2021年3月16日 07時49分
 NTTの澤田純社長が参院予算委員会で総務省幹部への接待を謝罪した。一方、業務上の依頼行為は全面的に否定した。ただ公益企業による接待自体に違法性があり、疑惑の徹底的な解明が必要だ。
 接待の席には澤田社長や鵜浦博夫相談役(前社長)らが出席していた。経営トップらが率先して所管官庁の幹部を接待しており違法性の有無以前に企業倫理が欠如していたと批判せざるを得ない。
 しかも接待場所はNTTの関連会社が経営する会員制レストランで人目を避けたと見られても否定は難しい。その接待で「業務上の要請や便宜を受けるという話はしていない」(澤田氏)と弁明しても、うのみにする国民がいるだろうか。疑惑払拭(ふっしょく)には程遠い。
 接待では毎回、かなり高額の料金が支払われていた。その原資の大半は、NTTの消費者が支払った通話料などの料金であることも強く指摘しておきたい。
 一連の接待が行われた間、NTTドコモの子会社化や携帯電話の値下げなど、同社にとって大きな案件が動いていたことも見過ごせない。接待が大型案件と関係があったのかどうか、外部の有識者でつくる政府の第三者委員会は徹底的に調査するべきだ。
 一九八〇年代後半に発覚したリクルート事件でNTTは、初代社長の真藤恒氏が未公開株を受け取り有罪判決を受けた。事件後、NTT内部では職員の倫理意識を高める研修が繰り返し行われたはずだ。だが今回の接待行為を見る限り、過去の反省はまったく生かされていなかった。
 澤田社長は、所管業界の接待を受けることが公務員にとっても国家公務員倫理法に抵触する可能性があることは熟知していたはずだ。接待を受けた側に問題があることは当然だが、行った企業の行為も厳しく問われるべきだ。
 NTTは人と人とをつなぐ通信事業を主軸としており、災害時などに国民の命を守る社会インフラの一つを担っている。国が株式の三割超を保有しているのも公益性の高さ故である。このため幹部のみならず職員全体に公務員並みの公共意識が求められる。
 今後、NTTには幹部を中心に企業倫理への意識を根底から見直す作業が求められる。その際、接待に出席したトップ自身が改革を先導するには無理がある。
 経営陣を刷新した上で問題を深く検証し、再出発を図るのが企業ビジネスの常道である。 

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