政府、ワクチン確保に不確定要素 輸入にEUの承認必要 アストラ社製は「情報整理し判断」

2021年3月19日 06時00分
 新型コロナウイルス緊急事態宣言に代わり、政府がコロナ収束の切り札と位置づけるのがワクチンだ。懸案のワクチン確保を巡っては、米ファイザーから6月までに約5000万人分(1億回分、一瓶から6回接種で換算)を輸入することが決まった。しかし、輸入には欧州連合(EU)の承認が必要で、必要量の確保には不確定な部分が残る。政府が契約している他の2社のワクチンはまだ承認もされていない。(井上峻輔)
 菅義偉首相は18日の記者会見でワクチン接種に関し「感染対策の決め手だ。一日も早く、すべての国民に届くようにしなければならない」と強調した。
 接種の調整を担う河野太郎行政改革担当相は12日、6月末までに5000万人分を輸入するスケジュールを発表した。うち5月は、4月の3.5倍の計2150万人分を輸入することでファイザーと合意。4月12日から接種が始まる高齢者は約3600万人とされ、当初はごく少量ずつしか市区町村に配送できないが、河野氏は「ゴールデンウイーク明けから自治体の打つスピードに合わせて出すことができる」と話す。
 厚生労働省が1月にファイザーと結んだ契約は「年内に7200万人分の供給」とされている。「契約上」を理由に詳しい交渉過程などを明かしていないが、昨夏の基本合意の「6月末まで」から後退し、供給時期は不透明になった。生産量が限られる中で、ようやく大量輸入の見通しが公表されたが、ファイザーの生産拠点があるEUは航空機一便ごとに承認が必要とする輸出管理措置を六月末まで延長すると十一日に発表。大幅に輸入量が増えた時にどうなるかは不透明だ。
 政府は高齢者と先月17日に始まった医療従事者の接種まではファイザー製のみを使うとしている。その後、一般接種や希望者全員が打ち終わる時期は未定だ。
 ファイザー以外では、英アストラゼネカから6000万人分、米モデルナから2500万人分を入手する契約を結んだ。いずれも厚労省に承認申請中で、承認は5月以降とみられる。
 アストラゼネカからは、1500万人分を3月末までに供給を受けるとしている。輸入した原液の製品化も既に始まった。
 しかし、「承認が下りないと国に供給できない」(同社広報担当者)。同社のワクチンは、接種後に血栓が出た例があるとして、欧州では接種の一時見合わせが広がっている。首相は接種計画への影響について「まずは情報をしっかり集めて整理した上での判断になる」と語る。 
 モデルナのワクチンは6月末までに2000万人分の供給を受け、残りを9月末までに受け取る契約だ。

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