<新・笑門来福 桂雀々>言葉を紡ぐ面白さ

2021年3月19日 07時17分

「ドラマWスペシャル あんのリリック」より。句会メンバーのひとりとして出演しました

 先日放送されたWOWOWのドラマ「あんのリリック〜桜木杏、俳句はじめてみました〜」に少しだけ出演させていただきました。「悪い人が一人も出てこない幸福な物語なんです」と説明された通り、広瀬すずさんや宮沢氷魚さんら登場人物は皆いい人で、カメラが回ってない時も相変わらずいい人ばかりで、幸せ色に満ちた空間の中で撮影は行われました。
 主人公の桜木杏(広瀬さん)は、孤独の中で言葉を創る楽しさや言葉を紡ぐ面白さに夢中になり、それがラップや俳句にはまっていく下地になるのですが、僕のことと重ね合わせるのも申し訳ないけど親近感を持ったのも事実です。
 少年時代、借金で両親が蒸発し、独りぼっちになった僕は箪笥(たんす)や花瓶相手に夢中でしゃべりかけ、ツッコミを入れ、言葉遊びで時間を埋めていた。ひとりしゃべりの楽しさに目覚め、ついには落語にはまっていく。まさにこのドラマのようだなと。顔はまったく違うけど。
 それはともかく、言葉の力は本当にすごい。このドラマでは、初めて俳句作りも体験しました。模擬句会では出演者とスタッフで真面目に俳句に取り組んだわけですが、これが結構難しい。季語も知らんし、さてどうしたもんかと四苦八苦。発表するのもこそばゆくて「こんなんで笑われへんかな」と恥ずかしいし、でも選ばれたらめちゃくちゃうれしいし、俳句に夢中になる人の気も分かる気がする。とにかく癖はあるけど、魅力的な人たちが出ているこのドラマ、おもろいですわ。僕、三回は見ましたもん。
 さて、本職の落語の仕事ですが、三月の終わりに大阪・新歌舞伎座で独演会を開催します。コロナ禍の中で主催者は大変やと思うけど、新歌舞伎座は感染防止策を徹底的に施し、開催をしてくれるという。ありがたいこっちゃ。大舞台ならではのセリや回り舞台、変幻自在な照明を駆使し、落語を立体的にお見せします。スーパー落語と銘打った進化系の落語をここではお客さんに披露します。本来、落語は見る側が頭の中で想像するわけですが、効果的に演出を加えることでより鮮やかに想像してくれればいいなと思う。
 桜咲く三月。お客さんが大いに笑って、楽しかったと感じてくれれば素直にうれしい。春やもん。皆にきっとええことあるように。あっ、僕って意外とええ人やん。

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